ストレス/仕事・職場のストレス(パワハラ・セクハラ等)

パワハラ自殺を防ぐために会社ができること

パワハラは上司の人格上の問題でもありますが、それ以上に、それを放置している会社の体質にこそ問題があります。パワハラ自殺を防ぐために、今会社がすべきこととは?

大美賀 直子

執筆者:大美賀 直子

公認心理師・産業カウンセラー /ストレス ガイド

パワハラ自殺の労災認定が続々と!

社員の自殺の損害賠償は1億円台!パワハラへのストレスも看過してはいけない
社員の自殺の損害賠償が会社を揺るがす!
近年、上司の立場を利用したいやがらせ「パワーハラスメント」(パワハラ)を苦にした自殺の労災認定判決が相次いでいます。

過労や仕事によるストレス等を原因に自殺して労災認定となった場合、会社が遺族に対して支払う損害賠償金額の多くが多額です。さらに裁判費用や人件費を加えると莫大な出費になります。


パワハラは会社の「病理」!?

ところで、社内に自殺者や、メンタルヘルス不全の社員を続出させるような会社には、パワハラ以外にも社員の労働意欲を削ぐような「イヤな雰囲気」が充満しているものです。

MDA(うつ・気分障害協会)理事の山口律子さんは社員をうつ病にさせる「ハイリスク職場」には、次のような傾向があると述べています。

・難しい対人接触が長時間続く
・社員の役割が不明確
・朝令暮改が多い
・違法行為や社会正義に反するような活動を強いられる
・評価基準があいまい

山口律子著『「会社力」がうつから救う!』(宝島社)より

たしかに、上記のような曖昧で非社会的な企業特性は、労働者の意欲を失わせ、その会社で働き続けることへの不安を煽ることになるでしょう。

不健康な企業体質を持つ会社は、総じて自戒性や自浄能力にも乏しくなり、これが一部の上司のパワハラ的言動をはびこらせてしまいます。今日話題になっているパワハラ問題は、上司個人の人格の問題である以上に、企業の持つ「病理」の表れなのではないかと考えます。


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