ふき(蕗)は春を伝える日本の伝統野菜
香りよく、シャキシャキの歯触りがおいしいフキ
市場に出回っている栽培種のフキは、愛知県の早生フキが中心です。他にわずかですが、葉柄が2mほどの大ブキで加工用にされるラワンブキや秋田フキ、関西で栽培される水フキなどもあります。
雪に覆われた凍てつく大地に顔をのぞかせる初春のフキノトウ(フキの蕾)から始まり、春から夏にかけてフキの茎(葉柄)、葉が楽しめます。
ふきの栄養……アクや苦みの成分に注目
フキは漢方や民間療法では、フキノトウ(花茎)や葉に薬効があり、健胃、咳止め、虫刺され、毒消しなどに効くと伝えられています。栄養面から見ると、フキノトウは、カリウムや鉄分、亜鉛などのミネラル、β-カロテン、ビタミンB群、ビタミンEなども含んでいますが、フキ(葉柄)は、カリウムや銅、食物繊維などを含みますが、五大栄養素の栄養価は際立って高いものではありません。
最近注目されているのは、やはり苦みや香り、アクの成分であるファイトケミカルでしょう。フキには、クロロゲン酸、クエルセチン、フキ特養のフキノール酸、ペタシフェールなどのポリフェノール類が多く含まれます。これらの成分は、動脈硬化やがん、アレルギー症状などを引き起こすといわれる活性酸素を除去する抗酸化作用が注目されています。
特に花粉症については、2002年に西洋フキの香り成分が花粉症等のアレルギー性鼻炎を緩和するという報告があり、サプリメントが注目されていましたが、日本のフキについても、オリザ油化株式会社がJA あいち知多や京都薬科大学の協力のもと愛知フキの抽出エキスに抗アレルギー活性成分があることを見いだしました。詳しくは、オリザ油化株式会社のフキエキスの資料をご覧下さい。
もちろんこうした報告はフキに含まれている特定の成分を抽出したエキスについてですので、食べ物としてのフキを食べさえすれば花粉症やアレルギー症状が治るという話ではありませんから、誤解のないようにしてください。
ふきのアク抜き方法!風味は活かして美味しくいただくポイント
フキを茹でてパック詰めされたものなどは年中で出回っていますが、やはりフレッシュの方が風味、歯触りも楽しめます。もちろんアクが強いと食べ難いですし、有効成分が含まれているからといってアクが多すぎれば毒にもなります。適度に風味を活かしつつ、食べやすく下処理しておいしく食べることが基本だと思います。フキのアク抜きは、フキが鍋に入る長さに切り、まな板の上で、塩をまぶしていたずりしてから熱湯で茹でて、冷水にさらして皮をむき、しばらく水にさらします。
上品に青煮に仕上げたい時は、一度だしで煮たててから煮汁から引き上げて、ザルの上で手早く冷まし,冷めた煮汁に戻して数時間漬けておくと、色が鮮やかな緑に仕上がります。
フキの葉は、スーパーなどでお買い物すると、フキの葉を切り落として売られていたりしますが、一度茹でてから半日から1日水につけると、苦みが抜けて食べやすくなります。私は、フキの葉は、佃煮にしたり、ふりかけにしたりします。春の恵みをできるだけ丸ごと食べて楽しみましょう。
参考
山菜と健康(山菜)
オリザ油化株式会社
「健康食品の安全性・有効性」(独立行政法人国立健康・栄養研究所)
・薬になる植物図鑑(柏書房)
・五訂日本標準食品成分(女子栄養大学出版)
その他
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