季節の健康を維持するためには旬のものを食べよう
近年穀物などの食料や水不足が懸念されつつも、日本の食卓は豊かです。1970年代以降物流や流通システムが発達し、また農業の栽培技術や品種改良も進化し、いつでも様々な食べ物でも手に入ります。もちろん食量の安定供給は有り難いことですが、旬や地域性を無視した食べ物や食べ方は、健康に、そして環境にもよいことばかりとは言えません。食養生の言葉には「身土不ニ」という言葉があります。私たちの体と環境は一つ、つまり切り離せないことを表現しています。四季のある日本で暮らす私たちにとって、旬の食べ物は私たちの体の営みと密接に関係しているのです。四季折々の食べ物がどのように体とかかわっているのかは、こちらをご覧ください。
冬の寒い時期に、栄養価が高いからと毎日毎日冷たい青汁をせっせと飲んだり、南国の果物を生のまま食べるとカラダが冷えてしまいます。そんな時に睡眠不足や疲労と重なると、体調を崩しやすくなったりするものです。
体のメカニズムから見ても、季節の変化はとても重要です。例えば、体の基礎代謝は、年中一定ではありません。季節の変化に応じて体温を一定に維持するために、夏には低くなり、冬は高くなります。暑い夏はエネルギーを使わないようにし、食欲もわかずあっさりとしたものが欲しくなります。また寒い冬はエネルギーをたくさん消費し、体も脂肪を蓄えようとするのです。
ところが現代の暮らしのように、暑い夏でもエアコンが効いている室内で、脂肪の多いものを食べ続けたりしていると、当然エネルギーをとりすぎて肥満からメタボリックシンドロームが心配になるというわけです。こうした季節や1日の中でも時間の流れと体との関係について時間栄養学という新しい分野の研究が注目されています。
さらに自分の暮らす地域の、旬のものを選ぶことは、食料自給率の向上や、フードマイレージの削減など環境の面でも貢献することになります。