日本の食料自給率は、約4割(カロリーベース)。輸入に頼った日本の食生活は、輸送に多くのエネルギーを消費して環境に負荷を与えたり、また季節感のない食事になっています。でもなかなか日常の中ではそんなことは、気がつきません。

「あおぞら財団」が開発・普及されている「買物ゲーム」は、環境問題や食料問題、農業、モータリゼーションによるライフスタイルの変化など、様々な問題を知り、自分に何ができるのかを考えさせてくれます。今回は、「あおぞら財団」の研究員 林美帆さんに、「買物ゲーム」を通じて、フードマイレージや、生活者は暮らしの中で何ができるのかについて、お話を伺いしました。

交通教育から生まれたフードマイレージゲーム

林美帆
あおぞら財団 研究員 
林 美帆さん
あおぞら財団は、大阪の西淀川という公害地域の再生をめざして活動するNPO(非営利組織)です。「大阪西淀川大気汚染裁判」は、わが国で最大の原告を数える公害裁判でした。 1995年3月、被告企業9社との間で和解が成立し、両者が西淀川地域の再生のために努力しあうことを確認し、和解金の一部を基金に、あおぞら財団が設立されました。

あおぞら財団は、地域の再生と、市民・行政・企業などあらゆる主体が協力しあえる社会環境づくりをめざして、地域と環境の再生に向けた調査研究、学習支援、情報発信などの実践活動を行っています。

その活動の一環である「公害のないまちづくり」のために、人と環境にやさしい道路政策に向けた提言づくり、CO2削減などに効果のあるエコドライブの社会実験や普及活動などに取り組んでおり、交通環境教育の一環として、「フードマイレージ」に着目されたのです。

教育現場の声を生かして

輸入果物
輸入食品に頼る日本のフードマイレージは、世界でもトップレベル
画像提供/Eyes Pic
2003年8月23日あおぞら財団主催の市民向け講座「道路環境市民塾」の「自分と自動車とのつきあい方を考える」講座の中で、初めてフードマイレージ学習の「買物ゲーム」を実施されました。

この「買物ゲーム」は,大阪大学大学院工学研究科助手の松村暢彦氏(現:准教授)と大阪府立西淀川高等学校の松井克行氏(現:大阪府立三島高等学校)が、フードマイレージを研究されていた一橋大学大学院生の根本志保子さん(現:日本大学講師)のアドバイスを受けて創り上げました。

特に大阪卸売市場で扱われていた食材と生産地のデータを丹念に調べ上げ、それぞれの年代における食材の輸送に伴う環境負荷をCO2排出量で換算し、比較可能とした点などに大阪を地元とする独自性がありました。

その後、実践と試行を繰り返し、フードマイレージの教材をつくりたいという現場の先生や大学の研究者、NPO職員などによって「フードマイレージ教材化研究会」が結成され、様々な意見を盛り込み、今のような形になったのは2007年3月からです。

フードマイレージって何?

フードマイレージとは、食べ物の生産地から消費される食卓までの輸送に要した「距離×重さ」を表しています。2000年における日本のフードマイレージは、約9,000億t kmで、同じ先進国である韓国の3.4倍、アメリカの3.7倍になります。生産地と食卓の距離が遠くなるほど、輸送時に地球温暖化ガスや大気汚染の原因と考えられている二酸化炭素(CO2)や二酸化窒素(NO2)などがたくさん排出され、環境に悪影響を及ぼすと考えられています。

フードマイレージ
フードマイレージの各国比較

また現代の日本は、海外から輸入するための輸送だけでなく、高度経済成長期から全国に高速道路網が発展し、遠くの産地の食材が食卓に届けられるようになり、食料は物質的に豊かに揃いますが、その結果として輸送エネルギーが増え、フードマイレージが世界一になってしまいました。

ライフスタイルの変化は「買物」交通手段も変化させます。近くのお店や商店街へ「徒歩・自転車」で行くスタイルから郊外大型店へ「自動車」ででかけるスタイルが増え、これも想像以上に環境に負担をかけています。