理屈よりまずは「おいしい」ものを
店内では、こだわりの調味料やジャム、乾物などの食品なども販売しています。 |
おだしは、鰹節等の動物性のものではなく昆布や干ししいたけの出しを使いますが、これも有機野菜をおいしく食べるには,旨味の強い鰹だしよりも、植物性素材のだしの方が野菜の旨味が際立つと感じられるからです。おいしくなるなら、たまにはマヨネーズを使ったりすることもあります。
またこちらで提供される「北欧紅茶」は、できるだけ無農薬栽培のものを使用し、人工香料を使わないこだわりの製法で、味も品質もよいものですが、オーガニック認定のものではありません。オーガニック紅茶の中でまだ大辻さんご夫妻が、「北欧紅茶」よりおいしいと納得できるものには出逢えていないからなのだそうです。「米day no.1」というフィルターを通して選択した味を提供するのが第一優先。肩のチカラをぬいたこだわり加減が、私には共感が持てました。
カラダの声を聞く
スウェーデンの紅茶で、知る人ぞ知る銘紅茶。オーガニック認定ではありませんが、こだわりの製法で香りと味のよさは絶品。なかなか市販されていないので、ぜひこちらで味わってみてください。 |
「今では甘い物もほとんど食べませんが、たまに甘いものを食べたりする時は、これ以上食べたらこんどはカラダの調子が悪くなるってことがわかるから食べすぎない。自分のカラダの声をちゃんと聞いていたら、健康でいられると思うんです。気がつくともう10年以上風邪をひいていないし、病院に行くこともないんですよ」。
確かに現代は「健康」に関する情報が多くて、頭で食べている人が多いように思います。賞味期限の話等もその典型的な話ですが、まずは自分の五感を働かせて自分自身を感じることは大切な事だと思います。
ただ、人にはいろいろと段階があって、大辻さんのようにほとんど動物性のものを必要としない人もいれば、そうではない人もいるし、「こうでなければないらない」と押し付けることはしません。だからメニューのバリエーションが広いのです。
大切なこだわりがありながら、おおらかな心もちが商品に反映されているからこそ、健康や安全性にこだわる人はもちろん、ご近所に住む方が常連客になったり、また休日は晴明神社界隈の観光スポットとして賑わうため、ガイドブック片手にもった若い女性グループが、ふらりと立ち寄ってイートインで食事を楽しまれる姿も多いそうです。
「健康や安全」という看板を押し付けるのではなく「おいしさ」を楽しもうという敷居の低さが、様々な価値観をもつ人たちと出逢えるチャンスを広げているのだと思います。