体質によって、効果のある漢方薬はさまざまですが、ここでは各症状に効く代表的な薬を挙げます。薬剤師さんや医師に相談しながら、ベストの薬を見つけてみましょう!
●痴呆に効く漢方薬
痴呆の症状は「中核症状」と「周辺症状」の2つに分けられます。中核症状とは、「記憶力」「見当識(自分が誰か・ここはどこか・相手は誰か・今は何月何日かなどの認識)」「計算力」が衰えていく症状。周辺症状は、それにともなって起こるさまざまなトラブルで、「徘徊」「幻覚」「妄想」「睡眠障害」「不潔行為」「興奮」「自発性の低下」などを指します。漢方薬で、中核症状そのものを治すことはできませんが、服用を続ければ、周辺症状の改善がおおいに期待できます。とくに脳血管障害による痴呆に、釣藤散(ちょうとうさん)が効果を発揮することは調査によって明らかとなっています。
脳血管障害による自発性や意欲の低下 釣藤散(ちょうとうさん) 興奮状態 抑肝散(よくかんさん)・三黄瀉心湯(さんおうしゃしんとう) 睡眠障害 酸棗仁湯(さんそうにんとう) 抑うつ症状 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん) |
●介護に効く漢方薬
要介護状態に陥るパターンで多いのが、病気をきっかけに意欲をなくし、そのまま寝付いてしまうというもの。これを防ぐのが、釣藤散。病気のあとに服用して、意欲を促し、リハビリに努めるようにしたいもの。このほか漢方薬は、介護にまつわるさまざまな症状に有効です。上手に取り入れて、元気を取り戻してあげてください。
嚥下障害(飲食物をうまく飲み込めない障害) 半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)・清肺湯(せいはいとう) 誤嚥性肺炎(口腔内の細菌から起こる肺炎) 排膿散及湯(はいのうさんきゅうとう) 床ずれ 釣藤散(ちょうとうさん)・十全大補湯(じゅうぜんたいほとう) 排尿障害(尿路感染による発熱) 柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう) 食欲不振・嘔吐 人参湯(にんじんとう)・六君子湯(りっくんしとう)・四君子湯(しくんしとう) |
●老化に効く漢方薬
老化にともなう関節の痛みは、お血や水滞が原因と考えられています。こうしたトラブルにはほてりがあるかどうか、虚証が実証かなどを見極めたうえで、それぞれ適した漢方薬が有効となります。また、、更年期障害にもいくつかの薬が効果を発揮。虚証の人は当帰芍薬散、実証の人は桂枝茯苓丸、中間証の人は加味逍遥散を服用するとよいでしょう。
五十肩 越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)・葛根湯(かっこんとう)・疎経活血湯(そ けいかっけつとう)二朮湯(にじゅつとう)・桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう) 変形性膝関節症 越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)・桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)・ 防己黄耆湯(ぼういおうぎとう)・大防風湯(だいぼうふうとう)・五積散(ごしゃくさん) 更年期障害 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)・加味逍遥散(かみしょうようさん)・桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん) |
●参考文献
別冊NHKきょうの健康 最新情報 漢方(NHK出版)
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●関連サイト
認知症の基礎知識
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