花粉症/花粉症の基礎知識・症状・重症度チェック

軽症から最重症まで…重症度で変わる花粉症の治療法

【医師解説】くしゃみ、鼻水、目のかゆみなど、つらい花粉症の症状。花粉症は重症度によって、治療法が異なります。「鼻アレルギー診療ガイドライン」を参考に、重症度チェックをし、花粉症の重症度に応じた治療法と予防内服薬について解説します。

清益 功浩

執筆者:清益 功浩

医師 / 家庭の医学ガイド

症状による重症度チェック

鼻をかむ外国人女性

あなたの花粉症重症度は、どのくらい……?

スギによる花粉症が辛い時期。まずは、鼻アレルギー、花粉症の鼻症状に注目してみましょう。花粉症の症状に応じた治療を考える上で、まずは重症度を正しく評価することが重要です。鼻アレルギー診療ガイドライン作成委員会による「鼻アレルギー診療ガイドライン」(ライフ・サイエンス社)を参考に、自分自身の重症度をチェックしてみましょう。

■軽症
□ くしゃみ 1~5回/日
□ 鼻汁   1~5回/日
□ 口呼吸は全くないが鼻づまりはある
□ 日常生活にはあまり支障はない

■中等症
□ くしゃみ 6~10回/日
□ 鼻汁   6~10回/日
どちらかを満たすか、下記の症状
□ 鼻閉が強く、口呼吸が1日のうちときどきあり

■重症
□ くしゃみ 11~20回/日
□ 鼻汁   11~20回/日
どちらかを満たすか、下記の症状
□ 鼻閉が非常に強く、口呼吸が1日のうちかなりの時間あり
□ 日常生活は、手につかないほど苦しい

■最重症
□ くしゃみ 21回以上/日
□ 鼻汁   21回以上/日
どちらかを満たすか、下記の症状
□ 鼻閉が1日中完全にしまっている
□ 日常生活は、全くできない

自分自身の重症度がわかったところで、以下でそれぞれの程度に合わせた基本的な治療法を解説します。

 

軽症の花粉症の治療法

軽症の場合の治療法は、以下の通りです。

■薬物療法
抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬が中心になります。内服薬、点鼻薬でも症状に応じて使い分けます。

目の症状には抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬の点眼薬、鼻症状には鼻噴霧用ステロイド薬(アルデシン・リノコート・フルナーゼ)を使用します。もちろん、鼻づまりが強い場合は、抗ロイコトリエン薬も効果があります。

中等症の花粉症の治療法

薬が中心になってきます
中等症の治療は、以下の通りです。

■薬物療法
くしゃみや鼻水が中心になっている場合と鼻閉が中心になっている場合に分かれます。

くしゃみや鼻汁のあるときは上記の軽症の治療法と同じく、抗ヒスタミン薬と鼻噴霧用ステロイド薬を使用します。
鼻閉のあるときは、抗ヒスタミン薬と鼻噴霧用ステロイド薬に加えて、抗ロイコトリエン薬を使用します。
目の症状に対しては、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬の点眼薬を使用します。
場合によっては、スギ花粉を使った免疫療法を行います。

 

重症・最重症の花粉症の治療法

基本的には、中等症の治療法に似ていますが、薬物療法は、くしゃみや鼻水が中心になっている場合と、鼻閉が中心になっている場合に分かれます。基本的な治療方針は、鼻の腫れた粘膜を取ること、鼻水を出す神経をブロックすることです。また、薬で治らない場合には手術療法を行う場合があります。

■薬物療法
くしゃみや鼻汁のあるときは、基本的には中等度の治療と同じです。抗ヒスタミン薬と鼻噴霧用ステロイド薬を使用します。

鼻閉のあるときは、抗ヒスタミン薬と鼻噴霧用ステロイド薬に加えて、抗ロイコトリエン薬を使用します。必要に応じて、点鼻用血管収縮薬を使用し、血管を収縮するさせ鼻粘膜の浮腫をとります。即効性はあるのですが、続けて使うと、鼻炎が悪化するので、14日以内にしておきましょう。ステロイドの内服をすることもありますが、これも副作用の点から、7日以内程度までにしたほうがいいでしょう。

目の症状がある場合は、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬の点眼薬を使用します。時には、ステロイド点眼薬も使用されます。ただし、ステロイド点眼薬を使用する場合、白内障、緑内障には注意が必要なので、主治医とよく相談してから使用するようにしましょう。

■花粉症の手術療法 
・鼻粘膜の縮小を目的にした手術
電気凝固法・凍結手術・レーザー手術

・鼻腔での空気を通気度を改善する手術
鼻甲介での粘膜や骨の切除・鼻中隔矯正など
・鼻水の分泌を抑える目的の手術
vidian神経切除術・後鼻神経切除術
以上のように、花粉症はその重症度に応じて治療が行われています。自己判断せず、ちゃんとした治療は医療機関を受診し相談するようにしてください。

花粉予防法

花粉の予防には、内服薬を使用します。代表的な内服薬とその副作用は以下の通りです。内服薬については、「アトピーの治療 内服薬」に詳しくまとめてあります。

■抗ヒスタミン薬
ザジテン、アゼプチン、セルテクト、ゼスラン、ニポラジン、ダレン、レミカット、アレジオン、エバステル、ジルテック、リボスチン、タリオン、アレグラ、アレロック、クラリチン

※抗ヒスタミン薬は、くしゃみや鼻水に効果がありますが、副作用に眠気があります。

■抗アレルギー薬
インタール、リザベン、ソルファ、アレギサール、ペミラストン

※抗アレルギー薬は、効果がやや弱く、効果が出てくるのに時間がかかります。眠気などの副作用は少ないのが特徴です。

■抗ロイコトリエン薬
オノン

※抗ロイコトリエン薬は、免疫の細胞から放出される化学物質「ロイコトリエン」を抑制する薬です。ロイコトリエンは鼻粘膜の浮腫を起こします。

花粉症の治療は、自分の原因の花粉をはっきりとすることが重要です。具合の悪くなる季節がわかると、花粉が飛ぶ前から予防に薬を使うことで症状が軽くなります。血液検査や皮膚検査で原因の花粉を特定し、予防に努めましょう。花粉の種類については、「花粉症の原因と花粉の飛散カレンダー」をご覧下さい。

花粉を効果的に避ける方法

外から帰ったらしっかりと顔を洗いましょう
花粉をできるだけ少なくする方法を説明します。
  • 花粉情報に注意する
  • 花粉の多いときには外出を控え、窓や戸を閉めておく
  • 外出する場合はマスクや眼鏡を使う
  • 花粉のつきそうな毛の衣服は避け、帰宅時には、衣服や髪についた花粉をよく払う
  • 家に着いたら、洗顔、うがい、洗眼、鼻をかむ
  • 家の中には花粉があるので、掃除をする

花粉症の対策や治療法については、「自分でできる花粉症対策」や「花粉症の治療」もあわせてご覧下さい。また、花粉症と関係する病気に、副鼻腔炎があります。鼻水の症状が改善せず長引いているという方は、「副鼻腔炎の原因・症状・診断・治療」を参照して下さい。
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