アトピー性皮膚炎だと、喘息の割合が2倍!
喘息がひどいと、咳が止まりません |
喘息は、「気管支喘息(きかんしぜんそく)」とも呼ばれています。口から肺までの経路として気管・気管支があります。気管支が狭くなる病気が喘息です。アトピー性皮膚炎で、なおかつ喘息も持っている率は、アトピー性皮膚炎のない人に比べて2倍になっています。日本国民で喘息を持っている人(有病率(ゆうびょうりつ))は、10から20%ぐらいと言われいますから、その割合の多さは注目に値しますね。
気管支が狭くなる原因は?
アレルギーを起こす物質(アレルゲン)が、口から気管支に入ってくると、体が異物と認識して、排除しようとします。この時、体に入らないようにするために、気管支にある平滑筋という筋肉が収縮します。その結果、気管支の内腔に近い粘膜(ねんまく)が浮腫(ふしゅ)を起こし、その周りに痰がつきます(痰と共に、異物を出そうとするのです)。これが原因で、気管支の内腔が狭くなり、ヒューヒューといった空気が狭い所を通る音がします。この音を「喘鳴(ぜんめい)」と呼び、症状を「喘息発作(ぜんそくほっさ)」と呼んでいます。
喘息発作の症状は?
- 咳・痰・喘鳴(ぜんめい)(コンコン、ゼイゼイ、ヒューヒューの音がする)
- 多呼吸(たこきゅう)(呼吸回数が多い)
- 陥没呼吸(かんぼつこきゅう)(肋骨の下がへこんだ呼吸をする)
- 起坐呼吸(きざこきゅう)(上半身を起こしていないと呼吸が苦しい)
- チアノーゼ(顔色、特に口唇色が紫色である)
などがあります
息が苦しいので、上に示す症状があれば、医療機関へ受診しましょう。
喘息の治療は?
大きく2つに分かれます。喘息が起こっているときの治療と喘息発作を予防する治療です。
喘息発作の対しては
- 吸入→気管支を広げる薬を使って、霧状の薬を吸います
- 点滴→気管支を広げる薬、気管支の浮腫を取る薬を点滴に入れて使います。痰を柔らかくして出しやすくするために輸液することもあります
などです
予防方法として例を挙げますと
煙草などの煙はよくありません |
- 環境整備
→ダニやホコリなど喘息の原因を除く。掃除が重要で、具体的には梅雨に向けてのダニ対策を参照してください。
→花火や煙草の煙も喘息発作を誘発します。
→風邪も喘息発作を誘発します。 - 吸入→気管支の狭くなったり、むくむことを予防します
- 内服→抗アレルギー薬などを使います。具体的な薬は内服薬を参照してください。
など
アトピーで咳が続く場合は、喘息の可能性がありますので、医療機関を受診して、きちんと診断された上で、喘息の治療を受けましょう。
★豆知識 有病率:集団における,一定の時点での特定の疾病や病態を有する人の割合のことをいう。2000年における喘息の割合を「喘息の有病率」と言い方をする。式は、病気の人/全体の数×100(%) |
アトピーの基礎知識シリーズ
【第1回】アトピーってどんな病気?
【第2回】アトピーの原因
【第3回】アトピーの検査
【第4回】アトピーの合併症
【第5回】アレルギー・マーチって何だ?
【第6回】アトピーと喘息の関係
<参考リンク先>
小児気管支喘息(リウマチ・アレルギー情報センター)
成人気管支喘息(リウマチ・アレルギー情報センター)