アトピー性皮膚炎/アトピー性皮膚炎の合併症・似た病気

アトピーと「じんましん」の関係

アトピーの発疹と違う蚊にかまれたような盛り上がり。それが「じんましん」です。じんましんは、アトピーの時に合併するアレルギーの病気の一つ。そこで今回は「じんましん」について説明します。

清益 功浩

執筆者:清益 功浩

医師 / 家庭の医学ガイド

アトピーに関係してアレルギーの病気を説明しています。今回は「蕁麻疹(じんましん)」。

アトピーで食べ物を摂取すると、体中に蚊にかまれたような発疹が出たことがありませんか?誰もが蚊に咬まれたことがあるので、何となく発疹のイメージ(下写真を参照してください)は想像できるかと思います。今回はそのじんましんの詳細を解説いたします。

「じんましん」とは?

じんましんの写真。このような発疹が出たら「じんましん」です
蚊に刺されたような赤い盛り上がった発疹(膨疹(ぼうしん)と呼ばれています)が出たことありませんか?それがじんましんです。かゆみを伴い、全身どこでも出てきます。若い女性に多く出る傾向がありますね。

「じんましん」の起こるメカニズム

IgE抗体がじんましんの原因になります
少し難しくなりますが、アレルギーを起こす物質(アレルゲン)やじんましんの原因が体内に入ると、IgE抗体ができます。そのIgE抗体が白血球(特に肥満細胞)からヒスタミンなどの化学物質を生み出し、それが皮膚にたまって盛り上がってきます。皮膚の神経を刺激するので、かゆみを伴います。

じんましんの症状

急性は2~3週間で治まり(1~2日間で治まることが多い)、慢性は1ヶ月以上続くことが多いです。

症状は、「かゆい」。とにかく、かゆくてたまりません。かゆくて掻いた皮膚が盛り上がります。発疹の形は、点状・線状・円状・楕円状・地図状であったりさまざま。全身いたる箇所にできます。

じんましんの発疹の出ている部分は24時間以内に消えて、別の箇所に出現します。あたかも移動したり、拡がったり、形を変えます。「じんましん」の発疹は、蚊に咬まれた発疹と違って、何日も残りません。ひどいときには、目が赤くなったり、唇がはれたりしますので、そのときには、医療機関を受診してください。腫れを抑える薬(ステロイドなど)を使用します。

じんましんは出やすい人は?

じんましんは、アレルギーの病気です。アトピーがあるとじんましんが出やすく、特にアトピーの乳幼児では、食べ物が原因でじんましんが出てきます。アトピー以外にも、花粉症・アレルギー鼻炎・アレルギー結膜炎・喘息のある方も要注意。

じんましんが出やすいかどうか簡単に見る方法は赤色皮膚描記(豆知識を参照してください)です。他には、アレルギーの検査(アトピーの検査を参照してください)でIgEの値を計ります。IgEの値が高いと、じんましんが起こりやすくなります。

じんましんは一度きりで終わってしまう場合もありますが、繰り返す場合は、検査することをお薦めします。


豆知識
赤色皮膚描記:皮膚を引っ掻くと、その引っ掻いた部分に膨疹が出現。「じんましん」の誘発試験。診察時に「じんましん」が出ていないときの検査方法の1つである。

アトピーの基礎知識シリーズ
【第1回】アトピーってどんな病気?
【第2回】アトピーの原因
【第3回】アトピーの検査
【第4回】アトピーの合併症
【第5回】アレルギー・マーチって何だ?
【第6回】アトピーと喘息の関係
【第7回】アトピーは遺伝するの?
【第8回】アトピーとじんましんの関係

<参考リンク先>
蕁麻疹(じんましん)
蕁麻疹(じんましん)
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