ニコチンは体内で「コチニン」に変化する
呼気中の一酸化炭素を測定する機械です。一酸化炭素の濃度が27ppmという結果ですが、丁度この数値がタバコの本数を反映しています(1日当たり約30本の喫煙者でした) |
ただし、検査の精度には限界があります。尿中コチニンが検出されなかった場合、それだけで受動喫煙症ではない、と言い切ることはできませんので、1つの参考所見としてお考えください。また、尿中コチニンの測定は現在のところ保険適応とはなっておらず、自費検査の場合には15,000円以上かかってしまうこともあります(検査日数も2~3週間ぐらいかかります)。それでも職場環境などで切実に悩まれている場合などでは、検査するだけの意義がありますので、職場の産業医や嘱託医、もしくは日本禁煙学会会員の先生方にご相談ください。
成人喫煙率≠(ノットイコール)家庭喫煙率
成人喫煙率は年々低下しており、4人に1人以下だそうですが、昨年職種に関わらず勤務する病院の職員全員に「タバコに関するアンケート調査」を行ったところ(回答数126)、現在もタバコを吸っているという回答は23.8%でした。ところが、「同居する家族で1人でもタバコを吸っている人がいる」という回答は56.5%と非常に高い割合でした。地域性にもよるのでしょうが、2つの家庭のうち1つ以上で、今日もタバコの煙が漂っているということになります。禁煙外来を自ら受診される方は禁煙を決意された方ばかりですが、他の病気のために診療している患者さんの中には「先生、やめるぐらいなら長く生きられなくてもいいですよ」という方もいらっしゃいます。患者さんの人生だから、でも健康のためにはやめたほうが……ジレンマに陥ることもしばしばですが、少なくとも受動喫煙による健康被害だけは何とか食い止めたいと、あれこれ策を練っています(某企業の産業医の先生からもご相談を受けて、積極的な協力体制を整えたりと……実際の禁煙指導では、初診では少なくとも20分以上じっくり時間をかけます。その間は他の患者さんもお待ちいただきますので、結構大変なんです)。
さて、ガイド自身はタバコを吸ったことはなく、タバコの煙は大の苦手で、典型的な受動喫煙症です。例えばレストランで食事に行くと、分煙が完全でないところには二度と足を運ぶこともなくなるぐらいです(極端でしょうか?)。
ただ、主に呼吸器科疾患や生活習慣病、禁煙外来の診療もしていますので、本当は目にもしたくないタバコですが生涯のお付き合いになりそうです(注意:映画監督が必ずしも俳優・女優さんでないように、禁煙外来を行っている医師も必ずしも喫煙経験者ではありません)。
どうしても禁煙を達成できない患者さんもいらっしゃるのは事実ですので、そうした人のために、いつの日か完全に無害なタバコができることで喫煙に関連した病気が減って、自分の仕事も少なくなるといいなぁと切実に願っています。
テレビ番組出演情報
喫煙は睡眠にも影響します。11月12日月曜午後7時からの「主治医が見つかる診療所」(テレビ東京系列)では快眠法についてガイドも出演していますので、ぜひご覧ください!
【関連リンク】
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⇒ 50代からの禁煙は医療機関で相談しましょう(All About 50代からの健康法)