「ストレスがあるとよく眠れない」と訴える人は、多いですよね。でも、それはどうしてなのでしょう。快眠セラピストとしてご活躍の三橋美穂さんに、眠りとストレスの関係についてお話を伺いました。 |
三橋美穂さん (快眠セラピスト) |
寝具メーカー「ロフテー」の研究開発部門「快眠スタジオ」にて眠りのアドバイスや商品開発などに携わる。2003年からフリーの快眠セラピストとして独立。著書に『快眠セラピー』(KKロングセラーズ)がある。 |
三橋美穂さんのホームページはこちら▼
「Sleepeace Cafe」 http://sleepeace.com/
---ストレスがあると眠りが浅かったり、熟睡感がなかったり、朝起きても疲れがとれなかったりしますよね。それは一体、どうしてなのでしょう?
私たちの体は、日中は体が活動しやすいように緊張して引き締まった状態になっていますが、睡眠中はリラックスをして緊張を緩めて休ませています。しかし、ストレスがかかると睡眠を抑制する働きがある「ACTH」というホルモンが分泌され、緊張状態が続いて眠れなくなることがあります。
---「ACTH」とはどんなホルモンなのでしょう?
「副腎皮質刺激ホルモン」とも呼ばれ、ストレスを与えられることで分泌するホルモンの一種です。
このホルモンは睡眠中に分解されるため、たっぷり眠ることは睡眠時の緊張を取り除くためにとても大切なことです。また、ストレスがかかりすぎていると、このホルモンの分解に要する時間も長くなるため、身心も「長く眠りたい」と要求するようになります。
ところが、前述したように「ACTH」には睡眠を抑制する働きもあるため、「長く眠りたいのに、なぜか目が覚めてしまう」「いくら眠っても眠りが浅く、緊張がとれない」という矛盾した状況が起こってしまうのです。
---なるほど。“ストレスは眠りを阻害すると同時に、眠りも要求する”というわけですね。ストレスを感じていると金縛りになる人も多いですが、これはどんなメカニズムなんでしょうか?
睡眠中は「ノンレム睡眠」という深い眠りと、「レム睡眠」という浅い眠りが交互に繰り返されます。レム睡眠中の脳は活発に動いていますが、筋肉はだらりと弛緩しており、夢を見たり記憶の整理をしていると言われているのがこの時です。通常、目覚めると同時に筋肉の弛緩は解けて動くようになるのですが、そのタイミングがずれてしまった状態が「金縛り」です。
---昼寝をしているときや疲れのたまった朝などに、わたしもよく金縛りにあいます。「もう起きなくちゃ、起きなくちゃ」と苦しいくらい何べんも思うのに、体がいうことを聞かず全然起きられないのです。
そうですね。金縛りは比較的若い人に多く、睡眠不足や心身のストレスが溜まっているようなときに起こりやすいといわれています。よく「霊が上に乗って体を押さえつけている」などといわれますが、決してそんなことはありません(笑)。時間がたてば自然に体が動くようになりますので、あせらずに待ったほうがいいですね。