---知覚的態度の人にとって働きやすい会社、というのは難しいかもしれませんね。多くの人が働く以上、規範や制約はどうしても必要になってきます。
そうですね。わたしのようにコンサルタントの仕事を志向する人も、"知覚的態度"の人が実に多いです。したがってコンサルタント会社では、他の職種に比べて社員が自由に働けるように、スケジュールなどを各々に任せているところが多いのです。
---しかし、"判断的態度"のボスもいるでしょうし、そういう人の下についてしまうと、やはりつらいでしょうね。
それに関しては、興味深いエピソードがあります。私の知人で、大手企業の人事担当をした後、退職して人事コンサルタント会社を興した人がいます。しかし、結局2年ほどでそのコンサルタント会社はなくなってしまいました。
実務的な知識は豊富だったのですが、とにかく社員に15分単位にやった行動レポートを作成させるのです。つまり、このボスは細部にわたってルールを決め、徹底するのが好きなタイプなのですね。コンサルタントとして働いていた社員は、このマネジメントに嫌気をさしてみんな辞めていったのです。
あとでチェックすると、このボスは"判断的態度"にかなり振れていました。その後、この方は飲食業に進出し、餃子やラーメンの店を始めましたが、そこではそこそこに成功したようです。つまり、どんな事業で成功するかについても、このような指標軸が説明力を持っているわけです。
---会社のほうでも、募集の段階でこのチェックシートを渡し、「この職種では、Bに多く当てはまる人を求めています」などと前もって言っておいてくれれば、会社でストレスを感じる人も少なくなるだろうに、と思いますが・・・。
ははは、それも一理あるかもしれせんね(笑)。ちなみに、就職試験の前に、SPI対策本に必死に目を通す方もいると思いますが、以下の項目に「はい」と答えると、多くの会社では不採用になりやすいのです。
これらは複数のSPI対策本を参考にして抽出しましたが、もちろん、実際にはこれだけでは対応できないように、入社試験の項目は工夫して作られています。
敏感性
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自責性
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独自性
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どちらかといえば神経質だと思う | 取り越し苦労をするほうだ | 大勢といるよりも一人でいるほうが好きだ |
普通の人より傷つきやすい | 物事をくよくよ考えるほうだ | 他人のことにあまり関わりたくないと思う |
いつでも何か不安なことがある | 私は役に立たない人間だと思うことが時々ある | 人とつきあうのはわずらわしいと思う |
赤面しないかと心配になることがある | 落ち込んで何も手のつかないことがある | 他人が何をしていようと自分には関係ないと思う |
些細なことが気になる質だ | 問題が生じたとき、自分が悪いと考えることが多い | 子供の頃は一人で遊ぶことが多かった |
---つまり、物事に過敏で、自責心が強く、孤独を好むタイプということになるのでしょうか。
そうですね。ただし、もちろんこのタイプが悪いということではありません。これもその人の個性なわけですから、自分の性格をよく見極めて、ストレスのたまらない仕事を見つけることがベストだと思います。
本来、SPI対策本はなんとかしてその会社に入るために使うのではなく、自分の性格を把握し、自分に合った職種を見つけるために利用するべきものだと思います。
永井隆雄さん 1963年生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。日本総研、朝日監査法人等を経て、現在はJEXS組織戦略研究所所属。職業適性試験の開発などの従事。産業・組織心理学会会員。ASTD及びSHRMの会員。著書に『優秀な部下が辞表を持ってきた時』、『人事コンサルタントが書いた転職心理作戦』など多数。HRMに関する海外事情にも詳しい。 |
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・永井先生が所属する研究所のホームページ
→JEXS組織戦略研究所