ストレスが原因で起こる心身の反応3段階
ストレスの蓄積が原因で起こる身体の不調、心身症。さまざまな病気が挙げられます。
ストレスを受け続けると、心身には以下の3つの反応の時期が訪れます。それぞれの反応の段階についてご説明しましょう。
1. 警告反応期
ストレスを受けると、一時的に体の抵抗力が下がり、体の活動性が低下します。しかしその後、心身の抵抗力がぐんぐん上昇し、敵襲に備えるかのような状態になり、活動的になっていきます。
2. 抵抗期
さらにストレスが続くと、そのストレスに適応するために体の高い抵抗力が維持されます。体が活動的になるため、休息を減らしても精力的に働けるようになったりし、ストレスに強くなったように感じられる時期です。
3. 疲弊期
2の「抵抗期」に適度な休息をとるなどして、ストレスと体調管理のバランスをとらないでいると、ストレスに適応するエネルギーが枯渇してしまいます。すると、ついには心身がダウンし、さまざまな病気を発症してしまいます。
心身を支える3システム……自律神経系・内分泌系・免疫系
私たちの体には3つのシステムが存在し、連携をとりあって健康を支えています。■自律神経系
意思とは関係なく、内臓のさまざまな働きを調節するシステム。緊張したときに働く交感神経と、リラックスしたときに働く副交感神経がある。
■内分泌系
ホルモン分泌をつかさどるシステム。ホルモンは内臓の働きをコントロールしたり、発育や新陳代謝を促すなど、体にとって重要な働きを担う。
■免疫系
細菌やウイルスなどのように、体に侵入してくる異物と闘い、体を守るシステム。
ストレス刺激を受けたとき、これらのシステムは相互に影響を与え合いながら、体全体のバランスを一定に保とうとしています。この働きを「ホメオスタシス」(生体の恒常性)といいます。
しかし、ストレスが長く続くとどうなるでしょう。緊張状態が持続することにより、まず自律神経系のバランスが乱れます。そして、自律神経系に異変が生じると、この神経と連絡をとりあって動いている残り2つのシステム(内分泌系、免疫系)の動きにも影響し、ホメオスタシスが乱されてしまうのです。このとき、心身の病気が起こりやすくなります。
では、ストレスによって引き起こされやすい体の病気には、どんなものがあるでしょう?
「心身症」とは……ストレスが原因で起こる病気
心身症の症状は多岐にわたる |
■内科(胃腸科、呼吸器科、循環器科など)
気管支ぜんそく/胃・十二指腸潰瘍/過敏性腸症候群/本態性高血圧 など
■耳鼻咽喉科
メニエール病・難聴・アレルギー性鼻炎 など
■神経内科
緊張性頭痛・めまい など
■整形外科
全身性筋痛症・慢性関節リウマチ など
■皮膚科
アトピー性皮膚炎・円形脱毛症 など
■産婦人科
月経前症候群・月経困難症・更年期障害 など
■泌尿器科
ED・夜尿症 など
上記は一例です。この他にもたくさんの心身症があります。
心身症は何科? まずは症状で受診し病気の原因検査を
これらの症状に心当たりがあれば、まずは体に出ている症状にあわせた各専門科(胃腸科、呼吸器科、耳鼻咽喉科、婦人科、泌尿器科など)で診察を受け、症状の原因を調べてもらいましょう。症状のベースに、体の器質的なトラブルがないか、原因を特定するためです。専門科で原因が分からない場合や、専門科の治療を続けても効果が見られない場合には、心身症の可能性も考えられるので、心療内科の受診を検討してみるといいでしょう。
心身症の場合、体の症状だけを治療しても、改善しません。体の症状を緩和しつつ、症状の原因となるストレス状態をケアしていくことが必要になります。そのためには、必要な治療を受けつつ、心の持ち方を見直したり、適度に休息を取り入れて心身を休めるなどして、心身に負荷をかけすぎない生活を心がけることが、とても大切です。