「音楽で癒しを!」とはよくいわれますが、どんな音楽を選ぶか、どんな聴き方をするかでその効果にグーンと差が出るということをご存知でしょうか? 今回は、音楽を使ってこころのコリをほぐすためのイロハについて、音楽療法に詳しい森田洋さんにお話を伺いました。 |
---リラクゼーション目的で音楽を聴く人はずいぶん増えてきましたね。
そうですね。でも、音楽から十分な癒し効果を得るためには、音楽の選び方や使い方が重要になるということは、あまりご存じない方が多いようです。癒し系音楽は、一般的にはBGM的に使う方が多いと思いますが、脳の活性効果をねらうなら適当な音楽を流しっぱなしで聴くより、音楽療法用のCDを選び、ある期間集中して聴くことが大切なんです。
---音楽を選ぶポイントなどはありますか?
以下のように、脳波にはγ(ガンマ)波、β(ベータ)波、α(アルファ)波、θ(シータ)波、δ(デルタ)波の5つの種類があります。「とにかくリラックスしたい」ということであれば、アルファ波に導くものがおすすめですし、一般に販売されている音楽療法用CDもこのタイプが圧倒的です。なかには、独自の方法でアルファ波だけでなくシータ波に導くものもあり、長く聴いているうちに脳の緊張が解けて集中力が増したり、記憶力を高める効果を期待することもできるといわれています。
5つの脳波とその性質
γ(ガンマ)波 | 30ヘルツ以上 怒りを感じたり、興奮しているとき |
β(ベータ)波 | 14~30ヘルツ 緊張や警戒しているとき |
α(アルファ)波 | 8~14ヘルツ リラックスしているとき、集中しているとき |
θ(シータ)波 | 4~8ヘルツ 浅い睡眠状態のとき、瞑想しているとき |
δ(デルタ)波 | 0.5~4ヘルツ 深い睡眠に入っているとき、無意識の状態 |
リラクゼーション&集中力・記憶力をアップする音楽療法用CD | |
ベータ波、アルファ波、シータ波、デルタ波に導く音楽CD。 |
独自の周波数に音楽をあわせ、集中力と記憶力をつけるために開発されたCD。 |
---もっと身近な音楽で、優れた癒し効果を得られるものはないのでしょうか?
モーツァルトがおすすめです。モーツァルトは感覚的に脳を活性化する音を組み合わせて癒しの音楽を作ることのできた数少ない天才のひとりです。モーツァルト音楽のすごいところは、脳がさえた状態でリラクゼーションに導くことができること。勉強や仕事の能率が悪くて悩んでいる人は、聴いてみてもいいかもしれません。
---癒し系音楽はどちらかというと環境音楽的に聴くことが多いのですが、実はヘッドフォンを使ったほうがよいそうですね。
ヘッドフォンとポータブルCDがあれば、どこでも音楽療法が実践できる |
ヘッドフォンを使ったほうがよいのは、音楽療法用に作られた高品質の音楽の場合であり、もともとBGM目的で作られた環境音楽は、ヘッドフォンで聴く必要はないと思います。
音楽療法用のCDの場合、ヘッドフォンを使うと、音楽の影響をより強く感じることができるので、効果がアップするんです。耳をすっぽり覆い、雑音をシャットアウトするタイプのものがベストで、耳にはめ込むタイプのものやイヤホンは不向きです。また雑音の入りやすいコードレスもおすすめできません。
なるべく質のいいものを選んだほうがいいですね。ちなみに、わたしは奮発してソニーの最高級のものを使っています。ポータブルCDプレイヤーにヘッドフォンをつけて使えば、家のどこでもくつろいだ状態で使えます。