月経周期や加齢に影響されやすい女性の体と心
女性はホルモンバランスの変化によって体調が変化しやすく、気分の変調も生じやすい
女性の心身に影響を与えるホルモンバランスの変化。個人差がとても大きいものですが、一般的には次のような気分の変調が現れやすくなるといわれています。
■月経周期に伴うホルモンバランスの変化
一つは、月経周期に伴う気分の変調。排卵日をはさんで女性ホルモンの状態が大きく変化するため、気分も変動しやすくなります。
排卵日から1週間ほどの期間は、気分の浮き沈みが生じやすくなります。月経開始日に近づくと気分はさらに不安定になりやすくなり、イライラしたり憂うつが深まる方もいます。これは、子宮内膜を充実させる「黄体ホルモン」の分泌が増えることによる変化です。
月経の開始に伴い黄体ホルモンが減少し、気分が落ち着いてくる方もいますが、月経痛や貧血、月経中の不快感などによって不調を感じる方もいます。月経終了後は「卵胞ホルモン」が徐々に上昇し、排卵期まで気分が快活になる方もいますが、個人差は大きいです。
■更年期によるホルモンバランスの変化
「更年期」に入ると女性ホルモンが激減し、閉経すると女性ホルモンはゼロに近くなります。人によっては「ホットフラッシュ」と呼ばれるのぼせ、突然の発汗、動悸、頭痛、体の冷えなどの不快な症状が生じることがあります。こうした体調の変化に伴って気分の変調も生じやすく、憂うつ感やイライラが増え、不安にかられたりすることもあります。
このように、女性は月経周期の影響や加齢とともに体の状態が変化し、気分の浮き沈みも生じやすくなるのです。
ライフステージや環境によっても変化する女性の心
就職、結婚、出産、育児、介護などのライフサイクル上の課題に直面するときにも、女性ならではの問題が発生することがあります。家事や育児を夫に協力してもらっても、実質上は妻が多くを負担していることが多いと思います。結婚後は、妻が退職したり働き方を変えるなどして、それまでと異なるライフスタイルに変化することも多く、地域の人や親戚との付き合いなど、たくさんの新しい課題に対応しなければならないことも多いものです。
仕事と育児を両立する女性には時間的な制約も多く、リラックスする時間や自分の時間を楽しむゆとりを持てないという声もよく聞きます。
ストレスが蓄積して心のゆとりを持てないでいると、不眠や食欲不振、憂うつ感の増加などが生じて、うつ病などの精神的なトラブルにつながることもあります。
周囲はデリケートな女性の心身を理解して、思いやりを
上述のように、女性は多様なストレスが影響して、気分にも変調が生じやすくなることがあります。周囲はこうした心情を理解しにくく、その時々のイライラや疲れきった様子だけを捉えて、「もっと大らかに考えたら?」「ダラダラしないで体を動かしたら?」などと意見をしたくなることがあるかもしれません。しかし、本人はそう器用に転換できるものでもなく、自分でもどうにもならないイライラや疲れに振り回されているのが実情です。
したがって、周囲はその時々の気分の変調に注目して相手を非難せず、思いやりの気持ちをもって接していくことが大切になります。
気分の浮き沈みと上手に付き合うには? 深呼吸と気分転換が大切
不快な気分が高まったら、深呼吸する習慣をもつことがおすすめです。また、気晴らしの手段を複数持ち、心のケアをしていきましょう
女性本人は、意思ではコントロールしにくい体調の乱れがあり、気分も影響されやすいという事実を自覚することが大切です。無性にいらだったり憂うつが深まったりすると、人に当たりたくなることもあるかもしれません。
そういうときには、いったん止まって深呼吸をしてみましょう。静かな場所で3分ほど深呼吸をすると気分が落ち着き、冷静になれます。その後で「私はこういう状態だから、動くのがしんどい。○○をしてくれると助かる」というように自分の状態を説明し、手伝ってほしいことを具体的に伝えるといいでしょう。
不快な気分が募ることを防ぐためには、日ごろから気晴らしの手段を複数持ち、楽しんでいくことも大切です。アロマセラピーで安らぐ、ハーブティーを飲んでほっとする、お気に入りのカフェを見つける……。日常の中にこのような小さな工夫をこまめに取り入れることが、気分の変調と付き合っていくためには大切です。
長い人生では、体調の波に振り回され、ライフサイクルの変化に戸惑うこともたくさんあります。そのたびに、気分の浮き沈みも経験するでしょう。そうしたストレスを上手に乗り越えていくためにも、自分自身をいたわる習慣をぜひつくってみてください。