ストレス/恋愛・結婚生活・離婚問題のストレス

愛が憎しみに変わる理由……愛情のカタストロフィーとは?

【公認心理師が解説】愛が憎しみに変わる、愛情のカタストロフィー(破局)。心から愛し合っていたカップルが、いつしか憎み合い、別れに至ってしまうことがあるのはなぜでしょう? カウンセラーの立場から解説します。

大美賀 直子

執筆者:大美賀 直子

公認心理師・産業カウンセラー /ストレス ガイド

愛情が憎しみに変わる「愛情のカタストロフィー」とは

愛が憎しみに変わる理由……愛情のカタストロフィーとは?

大恋愛から結ばれたのに、憎しみ合う2人に変わってしまう。「愛情のカタストロフィー」が起こらないようにするには?

寝ても冷めても想うのは、彼(彼女)のことばかり。前世からのパートナーと信じて疑わない……。こうして深く愛し合って結ばれたカップルが、いつしか互いに失望し、愛情が破局してしまうことがあるのはなぜなのでしょう?

ある感情が瓦解して、悲劇的な結末になることを「カタストロフィー」(破局や破滅のこと)と呼びます。そして恋愛関係では、しばしば「愛情のカタストロフィー」が生じます。
 

熱愛で結ばれたカップルこそ、カタストロフィーに注意!

愛情のカタストロフィーは、熱愛の勢いで結ばれたカップルによく見られます。恋愛に夢中になっている間は、結婚生活の現実には目を向けにくいものですが、実際の結婚生活は「夢のような毎日」が続くわけではありません。パートナーの嫌な一面を目の当たりにすることも多く、期待が裏切られたように感じてしまうこともあるでしょう。

こうしたなか、結婚生活そのものに失望してしまう人もいます。パートナーに対する期待が強かった人ほど、「恋愛中の態度は嘘だったの?」と考えてしまい、愛していた分だけ失望も強くなり、やがては憎しみに変わってしまうことがあります。
 

妻に生じる愛情のカタストロフィー……夫の無理解が失望につながることも

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子育てを機に妻の目が夫に厳しくなるのはなぜ?
愛情のカタストロフィーを、育児中の妻の立場から考えてみましょう。妻は子を持つと同時に育児から逃れられなくなります。そのため、パートナーである夫の態度や行動が家庭と育児に協力的であるか、とても気になってしまうものです。

子を持つ妻はまず、夫がまじめに働き、家計を支えてくれること、家事や育児に全面的に協力してくれることを期待します。そして、収入を自分だけの趣味や付き合いに使い過ぎていないか、家庭を後回しにして自分のやりたいことを優先させていないか。こういったことが、とても気になってしまいます。

夫が家庭のことを考えずに自分のことを優先して行動していると、どこか愛していた夫に裏切られたようにも感じられ、愛情のカタストロフィーが生じやすくなってしまうのです。
 

夫に生じる愛情のカタストロフィー……妻の気持ちがわからない、家庭で安らげない

夫の立場から考えてみましょう。夫は、そもそも妻と同じような妊娠・出産の経験をできるわけでもありませんし、一般的には妻に比べると育児に関わる時間も短く、子育てを通じた妻の気持ちの変化に気づきにくいものです。

さらには、家庭を仕事で疲れた羽を休める「安らぎの場」と捉える夫も多いものです。精一杯働いた分、家ではあらゆる義務から解放されて羽を伸ばしたい。ところが、子どもが幼いうちは家に帰っても休んではいられず、家事や育児に奮闘しなければならない。あるいは、リビングで休もうと思っても、そこは妻と子どもに占領され、ゆっくり休める場所がない。

家庭がこうした状態になっていると、夫の心には少しずつ「自分は何のために頑張っているのかな」という切ない気持ちが生じて、どこか愛していた妻に裏切られたようにも感じられ、愛情のカタストロフィーにつながってしまうことがあります。
 

カタストロフィーを防ぐには? コミュニケーションで理解を深めることが大切

愛情のカタストロフィーを防ぐには、夫婦が互いに抱えている不安について話し合っていくことが大切です。熱愛の勢いだけで結婚生活を営んでいると、パートナーが期待と異なる行動をとったときに、大きく失望してしまいます。これが高じると、愛情のカタストロフィーが生じてしまいます。

この愛情のカタストロフィーを防ぐには、日ごろのコミュニケーションの積み重ねがとても大切です。夫婦が互いに結婚生活へのイメージを共有し、理想と現実のギャップについても語り合い、それぞれの思いを理解しあっていくことです。

夫婦は、人生の難局を一緒に乗り越えていくライフパートナーです。お互いの欠点や理解不足も含めて、たくさんの思いを共有しながら、一緒に考え、支えあって歩んでいくのが夫婦です。日ごろからたくさんコミュニケーションをとりながら、気長に支え合っていきましょう。

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