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そのダイエット知識はホント!? |
人間の行動や感情をコントロールしているのは「脳」。「おいしい」と思ったり、「おなかすいた~っ、もっと食べたい」と感じるのは胃や小腸、はたまた肝臓ではなく「脳」なのですよね。
そうすると実はダイエットへの早道は「どうやったら脳が満足するか?」を考えてあげないといけないかもしれません。
体の中の日内変動が原因?
ヒトの体は一日中同じ状態じゃないの!?
ヒトの体は一日中同じ状態ではないのですね。
たとえば、有名なホルモンで副腎皮質ホルモンというステロイドホルモンがあります。このホルモンは早朝に一番多く分泌され、夜になるにつれて分泌量が少なくなります。
このホルモンは体の血糖値を上げて、体がエネルギーを使えるようにする働きがあるので、つまり、同じものを食べても朝の方が太りにくく、夜のほうが脂肪になりやすいといわれる一因になっています。
自律神経の問題
夜はリラックスの副交感神経が優位?!
ヒトの体は交感神経と副交感神経という2つの自律神経のバランスで調節されています。
簡単に言ってしまうと、交感神経が優位な状態は「興奮した攻撃体勢」で、副交感神経が優位な状態は「リラックス体勢」です。
交感神経優位な状態は「犬がけんかする前に全身の毛を逆立てている状態」だと思ってください。血管は収縮し、脈や血糖値も上がります。逆に副交感神経優位な状態は「寝る前のうとうとした状態」です。血管が開いてゆったりした状態になります。
もちろん、眠りに着く前はこの状態が一番いいのですが、興奮して何かをしようとしている時のほうがエネルギーを消費するのは当然ですよね…。
食事をしても夜は体があたたまらない!?
食事誘導性熱産生(DIT=Diet Induced Thermogenesis)って何?
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夜は体があたたまらない?食事誘導性熱産生(DIT=Diet Induced Thermogenesis)ってご存知ですか? 食事すると体があたたまりますよね。これは食べ物を消化・吸収する時に体がエネルギーを発散するからで、この熱のことをDITと呼びます。
つまり、私たちは食事する時に熱を産生しているのです。ところが、このDITは朝、最も多く、夕方~夜になるにつれだんだん少なくなるのです。つまり、朝より夜食べた方が太りやすいということですよね。
例えば、午前9時、夕方の6時、夜中の1時に同じカロリーの食事を食べてもらってDITを計ったところ、午前中>夕方>夜という順になったそうです*1 食生活を考えよう~食生活学習教材より引用。逆に言うと、朝ごはんは少しぐらい食べ過ぎても多少調節が利きそうですね。
時計タンパクが関係している!?
できるだけ午後10時から午前2時までは食事は我慢?
体内には、夜になると増えるタンパク質「BMAL1」というものがあります。これは体の中の体内時計を調節する役割があるタンパク質なのですが、このBMAL1が脂肪を体に溜め込むのに一役買っているという報告がされています。
ところがこのBMAL1の量にも、日内変動があることが知られています。午後3時を底にして、午後10時から午前2時までがピークになります。つまり、この結果を見ると「午後3時のおやつはもっとも太りにくく、午後10時から午前2時までに食べると一番太る」ということになります。
3時のおやつは科学的にも正しいのかもしれませんね。詳しい内容の発表はこちらBrain and muscle Arnt-like protein-1 (BMAL1), a component of the molecular clock, regulates adipogenesis (PNAS August 23, 2005) Shigeki Shimba
夜食症候群って知っていますか?
夜食症候群(Night Eating Syndrome)は、アメリカの研究者が提唱した食生活バターンです。
肥満症患者さんは、もちろん摂取カロリーが多いのですが(アメリカなので日本の比ではないでしょうが…)その中でも、多くの患者さんがそのカロリーを夜の食事で摂取するという特色があることに気づき、「夜食症候群」と名づけました。夕食後の摂取カロリーが一日の4分の1~2分の1にも達し、夜はなかなか寝付けない上に朝食が食べられない、一食の量が多い、という状態を指すようです。
アメリカでは肥満者の1~2割がこの症候群にあてはまり、かつ重度の肥満が多いよう。
いままで上げてきた原因に加えて、夜食べ過ぎると朝食抜きになってしまって、食事と食事の間の間隔があいてしまい、体が食べたエネルギーを溜め込みやすくなるからということが原因として考えられています。