節税対策/法人税の節税対策

別会社設立の節税(2ページ目)

法人税法の交際費の損金不算入制度、軽減税率などは、法人ごとに制限があります。そこで、別会社を設立して節税を図ることがありますが、別会社設立時のポイントは「資本金の額」です。

今村 仁

執筆者:今村 仁

中小企業・個人事業主の節税対策ガイド

法人税の計算上、軽減税率の適用

法人税率は、原則30%です。ただし、2009(平成21)年4月1日から2011(平成23)年3月31日までの間に終了する事業年度において、資本金1億円以下の会社は所得金額年800万円までは法人税率18%(改正前22%)の軽減税率が適用されています。法人住民税については、法人税額をもとに計算していきますので、法人税額が少ないほど法人住民税額も少なくなります。

例えば、法人税額の計算において所得金額が年800万円の場合、資本金1億円以下の会社の法人税額は800万円×18%=144万円、資本金1億円超の会社の法人税額は800万円×30%=240万円となり、約100万円も違ってきます。

資本金1億円以下の別会社を設立することにより、軽減税率のメリットを受けることができるのです。

交際費の損金不算入制度

会社が支出する交際費は、原則として全額費用にはなりません。しかし、資本金1億円以下の中小企業については特例を設けており、年600万円(改正前400万円)以下の交際費については90%を費用とし、10%だけを費用としないこととしています(詳細は「交際費の節税」をご覧ください)。

資本金1億円以下の別会社を設立することにより、年間600万円の交際費枠がつくれたことになります。

欠損金の繰戻し還付制度

前期に納付した法人税を返してもらえる制度、ご存知ですか?

前期に納付した法人税を返してもらえる制度は、資本金1億円以下の中小企業に適用される。

欠損金とは、その事業年度の所得金額において益金よりも損金のほうが多かった場合の益金を超える部分の金額をいいます。

青色申告書を提出している会社については、「欠損金の翌事業年度以降への繰越控除」と「前事業年度の欠損金の繰戻しによる還付」という制度があるのをご存知でしょうか? 双方とも以前から規定されていますが、後者については会社を解散するときなど特殊な場合を除き、設立5年以内の中小企業しか適用できませんでした。しかし、資本金1億円以下の中小企業に限り、2009(平成21)年2月1日以後に終了する各事業年度から「欠損金の繰戻しによる還付」が全面解禁されるようになりました。

この制度は、確定申告書に記載された欠損金額をその事業年度(欠損事業年度)開始の日前1年以内に開始したいずれかの事業年度(還付所得事業年度)に繰り戻して、次の算式による法人税額の還付を受けることができるというもの。

計算方法は、
還付請求できる金額=還付所得事業年度の法人税額×欠損事業年度の欠損金額(分母を限度)/還付所得事業年度の所得金額
となります。

簡単に説明すると、前期が黒字で当期が赤字の場合、前期に納付した法人税の還付を受けることができる制度です。この制度を受けるには、還付所得事業年度から欠損事業年度まで連続して青色申告書による確定申告書を提出していること、欠損事業年度の確定申告書を青色申告書により期限内に提出していること、確定申告書提出時に欠損金の繰戻しによる還付請求書を提出していることの要件があります。

赤字になるということは、通常は資金繰りも厳しいと思われますので、この制度は中小企業にとって大変使える制度と言えるでしょう。

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