節税対策/法人税の節税対策

別会社設立の節税

法人税法の交際費の損金不算入制度、軽減税率などは、法人ごとに制限があります。そこで、別会社を設立して節税を図ることがありますが、別会社設立時のポイントは「資本金の額」です。

今村 仁

執筆者:今村 仁

中小企業・個人事業主の節税対策ガイド

別会社設立における節税ポイントは資本金の額

別会社を設立するときは、資本金の額に注意してください

別会社を設立するときは、資本金の額に注意してください

2006(平成18)年5月に会社法が施行され、会社の設立が容易になりました。事業が順調に伸び新事業に進出する場合などに、別会社を設立して経営効率を図り、節税効果を最大限に活用することができます。

日本の企業数の99%を占める中小企業には、税法上多くのメリットがあります。中小企業となる資本金1億円以下による会社設立には、以下のようなメリットがあります。別会社を設立し、節税効果を図るのであれば、資本金の額は非常に重要になります。

  1. 特定同族会社の留保金課税が対象外
  2. 法人事業税の外形標準課税が対象外(赤字でも事業税を課税する制度のこと)
  3. 法人税の計算上、軽減税率の適用
  4. 交際費の損金不算入制度
  5. 年間300万円まで少額減価償却資産の即時損金算入制度
  6. 欠損金の繰戻し還付制度の適用
  7. 法人住民税の均等割税金の減少(資本金と従業員人数で決まる)
  8. 人材投資促進税制や中小企業投資促進税制などの適用
  9. 貸倒引当金の法定繰入率の採用
  10. 資本金1,000万円未満の場合、消費税2期免税 

などがあります。
特に影響の大きい項目について、詳しく見ていきましょう。

特定同族会社の留保金課税の対象外

上場会社などの非同族会社は、事業年度ごとに決算を行い税引き後利益から株主に配当を支払います。配当を受け取った株主は、所得税および住民税の負担が発生します。しかし、経営者と所有者が同一であることが多い同族会社においては、配当を出さず利益を内部留保する傾向にあります(中小企業は内部留保を厚くし、経営基盤を固める必要があるため)。

法人税法では、同族会社については、通常の法人税とは別に内部に留保した利益に対し税金を課します。これを「特定同族会社の留保金課税」といいます。

ちなみに、同族会社とは会社の上位3株主グループによる株式などの所有割合が50%を超えている会社のことで、特定同族会社とは同族会社のうち1株主グループによる株式などの保有割合が50%を超えている会社のことです。

特定同族会社に該当すると、内部留保金額に対し通常の法人税とは別枠で課税され、課税留保金額(内部留保金額 - 一定の計算による控除額)が年3,000万円以下の場合は10%、年3,000万円を超え1億円以下の場合は15%(控除額150万円)、1億円を超える場合は20%(控除額650万円)が課税されます。

しかし、2007(平成19)年4月1日以後に開始する事業年度から、資本金1億円以下の特定同族会社については、この制度の対象外とされました。

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