資金不要の税金繰延対策
次は、資金を使わずに、当期の税金を来期以降に繰り延べる対策です。永久的な節税はできなくても、来期以降に利益を繰り延べることができれば、また来期は来期で何か対策を考えることができるかもしれません。これも資金を使わずに、というところがポイントです。具体的には、決算期末の経費の未払計上などが挙げられます。期末までに請求書は届いたけれど、まだ支払っていないというような経費であっても、決算時には経費計上することができます。たかが未払計上と侮ることなかれ、塵も積もれば山となる、の精神できっちりと経費計上していけば、大きな節税につながることがあります。
例えば、社会保険料は当月分の保険料を翌月末に支払うシステムになっていますので、必ず1ヶ月分は未払計上できます。決算期末が土日であれば、さらにもう1ヶ月分で2ヶ月分の保険料を未払計上できます。
他にも、締め日以降の従業員給料、労働保険料、固定資産税の未払計上などがあります。
資金が必要な永久節税対策
節税対策は資金が不要であるのが一番ですが、資金が必要であっても節税効果が高ければ、それも有効な節税対策になります。冒頭の退職金が1つの例で、他にもいろいろと節税方法はあります。例えば、通常は1単位当たり10万円以上の資産は、資産計上して減価償却しなければなりませんが、青色申告法人である中小企業者等の場合、1単位当たり30万円未満の減価償却資産は、全額を経費計上することができます。
中古資産を取得した場合には、新品の資産に比べて耐用年数を短縮してくれるという特例がありますので、それを活用するのも手です。特に自動車の場合、新品から4年以上経過していれば、初年度で100%減価償却することができます(ただし、期中取得の場合には月割按分)。
ただし、注意しなければならないのは、節税できるのはあくまで使った資金のせいぜい40%ということです。法人の場合、100万円の資金を使って100万円の経費を作ったとしても、その経費で節税できるのは実効税率である約40%の税金、つまり約40万円です。差引60万円の資金は結局、社外流出してしまいます。資金を使った節税の場合、そのことを十分意識しておかないといけません。