内定辞退はいつまで?法律上の問題はあるのか
複数の企業から内定を受けた場合、必ず内定辞退の問題が生じます。内定辞退は、法律上は雇用契約の解約申し入れと同様です。辞退の申し入れをすれば、2週間経過によって解約となります。「民法上2週間前に伝えれば退職できる」なんて言われていることと同じ話です。職業の選択が自由である以上、自分が行きたい会社に行くことも自由です。会社もそれを承知の上で、より自社の魅力を伝えるべく採用活動をしています。内定辞退そのものは、会社に意思を伝えれば当然に有効で、何の問題もありません。
それでは、入社承諾書などの書類を提出して、明確に入社の意思表示をしている場合はどうでしょうか。会社によっては、内定承諾書、入社誓約書など言い方はいろいろですが、「必ず入社します」のように書いてある書類です。しかし、労基法には、「強制労働の禁止」が謳われています。入社承諾書を出したからといって、結局会社が入社を強制することはできないのです。
内定辞退の自由と、会社が受けた損害の賠償は別問題
よく就活の本などで、内定辞退で損害賠償なんて話が書いてあることがあります。「内定辞退が当然の権利なら、損害賠償はおかしいじゃないか」なんて思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、ここで注意しなければならないのは、内定辞退の自由と、内定辞退によって会社が損害を受けた場合の賠償は別問題だということです。会社員だって、転職は自由です。ただし、もし辞める際に会社に対して何らかの金銭的な損害を与えれば賠償の可能性はあり得るのと同じ話です。
それでは、内定辞退で会社にどのような損害が発生するのでしょうか。採用人数に余裕を持たせた採用活動を行っている以上、再募集費用は会社が負担するお金であって、損害ではありません。強いていうなら、内定後の研修費用などが該当するかもしれません。
しかし、実際に数十万円の損害が発生したからといって、それを内定者に賠償させようとする企業はおそらくないでしょう。内定者の一方的な都合だったとしても、学生相手に損害賠償請求を起こすとなると、企業のイメージも悪化して採用活動にも影響を及ぼします。損害が数十万円だとしても、その賠償をさせることで、それ以上のマイナスを会社が受けてしまいます。それに、損害賠償となると、たいていは裁判沙汰です。個々の内定辞退に、そこまで時間や労力をかける余裕は会社にはないとも思えます。
内定辞退の意思は必ず伝えよう
現在の採用活動のシステム上、内定辞退の問題は必ず生じます。人事担当者だってそのくらいは分かっているはずです。内定辞退に後ろめたいことがあるわけではありません。しかし、会社側も時間や人を割いて、採用活動を行っています。自分のために時間を使ってくれた会社に敬意を払って、内定辞退の意思はしっかりと伝えましょう。また、会社によっては内定の意思を伝える時期を指定されることもあるでしょう。その場合でも、別の会社での選考が進んでいるなどの状況を伝えて、期限を延ばすなどの交渉も必要になるかもしれません。もちろん、会社にも採用の都合があります。交渉がうまくいかないときもあるでしょう。そんな時は、気持ちを切り替えてもう一社に集中することが必要です。就活していると、どうしても自分本位になりがちです。人生の重大イベントですし仕方ないことかもしれませんが、働けば自分の思うようにいかないことなんてもっとたくさんあります。「全て自分の思い通りにいくわけない」と割り切ることも大切です。
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