30代のキャリアプランとは
30代のキャリアプランについて考える
30代の方は社会人として、仕事上のキャリアが10年以上経過していると思います。既婚者で子供のいる方、既婚者で子供のいない方、未婚者の方ではキャリアプランをする際の前提が異なります。今回は共通項である仕事を中心としたキャリアプランについて、考えたいと思います。
不満からの転職はキャリアダウンする
転職は機が熟した時に考えよ。不満からの転職はよい結果が生まれない
人材紹介会社から「ヘッドハンティングの話ですが、一度お目にかかりたい」という類の電話を受けたことがあるかも知れませんが、ハンティングの話ではなく、単なるポジション紹介の話であることが多いものです。今のような買い手市場であればあるほど、毒饅頭を食わされないように気をつけましょう。
キャリアや転職相談で様々な方々と接しておりますが、このところ最も多いのが、社内での評価に不満を持ち転職を考える方々です。現状に不満を抱いている時は、隣の芝生は青く見えるもの。これはガイドの私が学生時代からのメンターから教わったことですが、転職するかどうかのバロメーターとして次のことを想定して下さい。辞表を上司に提出する際の反応をイメージするのです。簡単に受領するようでは機が熟したとは言えません。強い慰留をしない限り、転職しても同じことの繰り返しになります。
つまり、戦力として重要かどうかを上司は判断しているです。辞めることでその組織に与えるインパクトがどのくらいあるかを見られているのです。組織に大きな影響を与え、強い慰留がイメージできなければ、まずはそういうレベルの戦力になることが求められるのです。
評価される人とされない人の違い
評価される人とされない人の違いについて、組織の中の人材評価を手掛けてわかったことは、コミュニケーション能力に尽きます。コミュニケーションの中でも対話(ダイアログ)がキーワードです。みなさんの仕事とは上司からアウトソーシングされたものなので、重要なことは上司が何を求めているのかをしっかり受け止める「聴く力」です。評価とは、事前期待と事後評価からされます。プロフェッショナルとして考えないといけないのは、事前期待に対する成果のみです。わかりやすい例では、世界のホームラン王として知られる現役時代の王貞治さんに対して、チームおよびファンが求めていたものは、ここぞという時のホームランでした。
期待に応えるにはたゆまない努力しかありません。評価されるためには上司の事前期待は何かを的確に掴むこと。これには対話での確認作業が必須で、イメージ合わせの作業です。これがきちんと行われるとイメージ通りの仕事ができます。イメージ通りの仕事ができれば評価され、次の仕事を任せられます。この感覚がわかればしめたものです。それからは良い循環で仕事が廻ってくるものです。
30代からのキャリアプランの作り方
これからはワークライフバランスの視点でキャリアプランすることが望まれる
日本は 1990年をピークとしたバルブ景気を境に、この15年間を経て成長期から成熟期に完全に移行しました。経済的繁栄を謳歌したかつてのアメリカやイギリスのように、経済的な側面以外にも社会的側面や文化的側面もこれからは重要になります。成長期においていかに稼ぐかという一元的な価値論ではなく、成熟期では統合的な人間価値が求められるのです。
では、このような時代背景やキャリアの捉え方を意識して、キャリアプランのコンセプトを例示していきましょう。
■30歳(未婚者)の場合
これからの社会、自立と自己責任が求められます。結婚という選択肢を取る前提として、経済的自立が求められます。そのためには専門分野における卓越した技能と実績が必要です。
30歳をモデルとして考えると、40歳のセルフイメージを明確化することです。自分の10歳上の上司や上長で最も輝いている方をモチーフ化するのは有効です。その方の職務(職能+職位)をゴールとして、どんな能力と実績が必要かをイメージ下さい。一番重要なことは10年後のこう在りたいという具体的なイメージ(長期的な目標)です。短期的な目標は仕事上の短期目標です。
■35歳(既婚者)の場合
35歳をモデルとして考えると、先程と同様に、45歳のセルフイメージを明確化することです。先に記述した通り、35歳が転職をする上での節目となります。これ以降は今の組織を前提に覚悟を持って、自分の能力や適性を活かせる場で最大限貢献、成果を出すことに注力すべきでしょう。
さらに、ワークライフバランスの観点で、仕事以外の面もきちんと考える必要があるでしょう。親として、配偶者として、介護の問題、地域住民との関係、趣味やスポーツに関わる関係などもイメージして、ライフキャリアプランを考えることです。
以前、日本は純血主義で新卒採用をして定年まで1つの会社で全うしていくことが美徳とされてきました。経済的繁栄した兄貴分のアメリカは若いうちは転職を重ね、35歳くらいで居場所を決定し、腰を落ち着けていくのが一般的です。このところの第二新卒という流れを肯定的に見ればそういうことなのでしょう。
遅くとも30代には自分探しに終止符を打ち、最後に縁のあった組織で自己の能力と適性を最大限に発揮させることに注力することが重要でしょう。
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