『水曜どうでしょう』(HTB)のミスターこと鈴井貴之にインタビュー
文章:編集部
「韓国食い道楽の旅」に登場した“全員 食えない。”をパロディーにした“全員 読め。”カードを渡すと“め”の字をちょっと手で隠すミスター。「読め、より、読むな、という方が読みたくなるじゃないですか(笑)」 ヘアメイク:西岡達也(vitamins) |
『ダメ人間 ~溜め息ばかりの青春記』 2009年9月9日(水)発売 著者:鈴井貴之 定価:1260円(税込) 発行・発売元:(株)メディアファクトリー 問い合わせ:0570-002-001 購入はこちら(Amazon) |
インタビューでは、執筆の奥にある思いから、今後の方向まで多いに語ってくれた。47歳現在、等身大の鈴井貴之が、ここにいる。
Q:出版おめでとうございます。『ダメ人間 ~溜め息ばかりの青春記』とは、大胆なタイトルですね。
A:この本は自伝的私小説で、僕のダメダメだった20歳~29歳を描いています。また、『水曜どうでしょう』(HTB)のサイコロの旅(サイコロを振って行き先を決める旅)で悲惨な目ばかり出してしまい、大泉洋から「このダメ人間が!」と言われていますからね。単純に言葉としても強いので、選びました。
Q:TVで観るのと、この書籍では、ダメ人間っぷりが違う気がします。
A:そうですね。番組では、運が悪いことを大泉君が大げさに言っているだけなので「そんなに~」というのがありますが、この本の方は本当にダメですからね(笑)。
ただ、このダメ人間が29歳で改心したわけではなく、今もダメだと思うんですよ。多少はよくなったかもしれないですが。でも、僕は「人間みんなダメなんじゃないの?」と思うんです。キレイに誉れ高く生きている人なんてほとんどいないだろうな、と。
僕は大学受験に2度失敗して、そのときは人生プランは全部終わった、と思いました。そういう人はたくさんいますよね。高校受験、大学受験、リストラとか。その渦中は大変だけれども、ちょっと前へ進むことが大事だと思うんです。前へ進めなければ、そこに留まっているだけでもいいと思うんです。時間が経ってくれれば、少し緩やかになりますから。
ですから、大げさなことを言うと「生きろ」ということなんです。死を選択せず、じっと時間をかければ、必ず次のところへ行けるはずだから、と。この本では、そういうことを書きたかったんです。何かに行き詰まっている人が読んで、「そっか、まあ、しゃあないな、オレも頑張ってみるか」と思ってくれたら、嬉しいですね。
Q:確かに本では、こらえていると、多くの人が手助けをしてくれていますね。
A:決して僕が特殊とは思いません。ダメさぶりは、実は人間としてチャーミングなところで、人を惹きつける。「出来が悪い子ほどかわいい」じゃないけれど、ダメなところがあるから、いろいろな人が支えてくれるんだと思います。心配してくれる人たちはたくさんいるんです。
ただ、若いときはどうしても自己中心的ですから、そこに気付きにくい。僕も今頃やっと「うわー、たくさんの人に迷惑かけ、助けられてたんだ~!」と思っているんですよ。一人ひとりにちゃんと「ありがとう」を言えていないのがすごい後悔としてあって。とにかく僕はこの20代の自分が嫌いなんですよ! もう生意気で、独りよがりで(笑)。
Q:(笑)
A:反抗期に「担任の教師が嫌い」とかあるかもしれませんが、その人たちの存在だって絶対に影響を与えているんですよ。「クソッ」と思ってたことだって、ある時点になると「嫌いだったけど、あいつがいたからオレはがんばれたんだ」と思える。それができるようになるには、ある一定の期間と経験と……自己反省ですね(笑)。
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