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週末起業家のリスク管理 会社と賢く付き合う法

週末起業家が細心の注意をもって、あたらねばならない問題――。それは、勤務先との調整です。そこで今回は、仮に会社に秘密にして事業を始めてしまった場合、どんな危機管理が必要かを考えてみましょう。

執筆者:藤井 孝一


週末起業家が細心の注意をもって、あたらねばならない問題――。それは、勤務先との調整です。そこで今回は、仮に会社に秘密にして事業を始めてしまった場合、どんな危機管理が必要かを考えてみましょう。

建設会社に勤務しながら、オンラインショップを営むAさん。自分の週末起業が、あろうことか上司にバレてしまいました。

原因は、何度かお客さまから問い合わせの電話が自分の携帯電話にかかってきたことです。それに対応しているところを同僚に聞かれてしまったのです。どうやら同僚が上司に告げ口したようです。ある日、上司に突然「ちょっと」と呼び出され、詰問されてしまいました。

Aさんは、とっさに言い逃れを試みましたが、あまりにも突然だったために、しどろもどろになってしまいました。結果的に、白状はしませんでしたが、不信感をさらに強くしたようです。特に処罰などはありませんでしたが、その日以来、上司からの視線が厳しくなり、本業も週末起業も手に付かない状態です。今思えば、「もう少し、うまい言い訳ができたのに…」と後悔しきりです。


備えあれば、憂いなし…バレた時のことを想定しておく


もちろん、NPOといえどもメリットばかりではありません。考えられるデメリットについていくつか挙げてみることにしましょう。

リスクが少ない週末起業の最大のリスクは、会社にナイショで始めて、ばれてしまうことではないでしょうか。

会社に許可を得ていれば問題ありませんが、多くの方が会社に内緒というのが実情です。バレた場合、Aさんのようにお咎めがあり、以後目をつけられるでしょう。もっと厳しい場合、何らかの処罰、最悪の場合は解雇になり得ます。十分気をつけたいものです。
 
ところで、多くの週末起業家は、納税することで会社にばれるのではないかと心配しています。しかし、実際にばれた例を見ると、原因として圧倒的に多いのが、もっと初歩的なことです。つまり、

 ・作業しているところを見つかってしまった
 ・同僚に告げ口されてしまった(いわゆるタレコミ)
 ・酒の勢いで、自分でポロッと言ってしまった
 ・ホームページを見られてしまった
 ・自分の家族が、社員の家族に話した


などです。

最大のリスクは、ナイショでやって会社にばれること


まず、日ごろから予防に努めることです。職場の関係者には、その家族を含め、けっして言わないことです。これはやっかみの原因にもなりますので、許可を取ってやっている場合もしかりです。

特に、Aさんのように、勤務時間中にお客さまからの問い合わせに対応するのは止めましょう。勤務時間中こともあり、就業規則違反を問われます。

他にも、日中会社のパソコンでお客さんからのeメールを受け取る人がいますが、絶対にやめましょう。

ホームページに実名をあげるのは危険な行為


また、ホームページに実名をあげるのも危険です。しかしながら、ホームページで販売行為を行う際には、訪問販売法で実名を明示することが義務づけられています。

その場合の対策としては、家族や友人の名前を借ります。またWeb上には実名を表記せず、お問い合わせがあったら速やかにメールで回答するという対策も可能です。

万が一、会社や上司にバレた場合の対処法は、“言い訳”になります。言い訳する際、大事なことは言っていることが支離滅裂になったり、二転三転しないことです。

これを防ぐには、バレることも十分あり得るという前提で、事前に会社が納得しやすい言い訳を考えておくことです。ポイントは、

 ・勤務中にはやっていないこと
 ・会社の資産は使っていないこと
 ・自分が主体でないこと(家族、知人の手伝いなど)
 ・ボランティア(報酬が目的でない)であること
 ・継続的にやっていないこと
 ・筋が通り、一貫していること

 
などです。

具体的な言い訳の方法


ここで、上述の内容を考慮して、具体的な言い訳を考えてみます。例えば、

「妻が友人とビジネスをはじめましたが、女性が表に名前を出すと防犯上、不用心だということで名前を貸せと言われまして…」

「親が自営業で、学生のころから店を手伝っています。その延長で、たまたま手伝っていただけです」

「親友がボランティアを始めましたが、予想以上に忙しくなって、今だけ手伝ってくれと頼み込まれまして。やむなく今だけ手伝っています。報酬はもらっていません」


などです。

このような言い訳で、会社側は100%は納得しないでしょう。しかし「不問に付してもよい」と考える可能性は高いでしょう。なんらかの処分はあっても、「見解の相違」などということで、最悪の懲戒解雇は免れる確率が高くなります。


もちろん、本業で生活費を得ている以上、勤務先に迷惑をかけるような仕事の仕方をしてよいはずはありません。スマートに週末起業を進めたければ、本業で手を抜かないことが鉄則なのです。
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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