ICに欠かせないのは、人をマネージメントする力よりも
仕事をマネージメントする力です
ガイド:業務委託契約の場合は、期限付きで成果を求められると思いますが、結果を出すためには、いかにその会社の社員とのコミュニケーションを短期間に築くかという点がポイントになってくると思います。その点はいかがですか?
秋山理事長:
現場のスタッフの皆さんは、トップへうまく取り入ったヤツなのか、本当に仕事ができるヤツなのか、すぐ見抜きます。(笑)実務に強いところを、見せないと駄目ですね。仕事のレベルの高さと仕切りの力で、どうやって成果を出すか、そこが勝負どころです。
そこで、いつも気にかけていることは、スタッフのモチベーションです。モチベーション理論で、ハックマンとオールダムの「職務満足の5要件」というものがあります。それを、ちゃんと実践したら、皆さん仕事を上手くやってくれます。
・その仕事をやる意味がどれだけあるか明確にする。
・1つの仕事ばかりやっていると飽きるので、各人の力量に合わせて、仕事の多様性を確保する。
・全体の中での役割(タスクアイデンティティ)を明確にしてあげる。
・自律性を与える。
・定期的にフィードバックを行う。
それと、一緒に仕事をする人たちが、何が得意で何が不得意か、どんなことをやりたいと思っていて、何をやりたくないと思っているのか、それらをヒアリングをして、うまい組み合わせを考えていきます。
ガイド:
正しいリーダーシップということになるでしょうか?
秋山理事長:
ICに求められるマネージメント力は、いい上司とかいう評価をもらって、人を束ねていくリーダーシップというより、仕事をマネージメントしていく上でのリーダーシップが求められます。
また、契約者である経営者や責任者とのコミュニケーションも重要です。大事なことは、最初にゴールセッティングをキチンとしておくこと。ゴールに到達するための基本的な道筋というのをちゃんと見せて、先読みのシナリオを作って提示していく、その辺の見取り図が大切ですね。それをやらずに見切り発車すると、後々トラブルの元になります。
一生働くつもりです
そのために、4年に1度は、休業宣言!
ガイド:ブログで拝見したのですが、今年は休業宣言をされて、現在お休み中ということですが…?
秋山理事長:
一生働くための、時間のバランス感覚。伺って、納得です。仕事への意欲とモチベーションを維持するために、働き方をコントロールできるのは、ICの特権です。 |
ガイド:
ハードに働いて、充電期間を取るということですか?
秋山理事長:
もっと、生理的な感じです。人間の生態リズム的に考えた時に、ガーーっとやったら、グーーっとテンションを落とさないと。
ガイド:
休業期間は、インプットする時間なんですか?
秋山理事長:
「さなぎ」をやる期間がないと駄目なんです。例えば、蝶が幼虫から「さなぎ」を経て、成虫へと変態を行います。変態(メタモルフォーシス)とは、いままでの殻を破って、大きく成長することです。そのためには、(「さなぎ」の時期に)むしろ何もしない方がいいんです。
何もしないことによって、どういう変化が起こるかというと、これまでアウトプットしてきた得意技のパターンってありますよね。これを常に使い続けていくと、そればかりが再強化されて、そのパターンばかりを使いたくなります。
それを1度止めて、使うことをやめてしまうと、(自分の能力の中で)際立っていた部分が、スーっと落ちてきて、他の能力と同じ次元で横並びになります。そうすると、他のものと勝手にくっついて、レベルアップされた他のバージョンのものができあがったりします。そのために、必ず、得意技を使わない期間を持たせないといけないんです。と、僕は思ってやっているんですが。
人は、得意なものができると、それに依存するようになります。得意パターン(過去の成功パターン)が1つしかないような人がトップになる場合が多いんです。それは、あきません。ビジネスというものは、局面局面で違うので、それに柔軟に対応できなければいけません。
ガイド:
お休みはどのように過ごされていらっしゃるんですか?
秋山理事長:
お休みしています。(笑)いつまでに何を達成するという仕事はお休みしていますが、頼まれて日米貿易摩擦の歴史の記述や、懲罰と社会の関係とかを研究しています。いつも使っている部分と違う場所を使っている感じです。
動物行動学が好きなんですが、(脳の働きに)動物の次元と人間の次元というのがありますよね。僕は、動物の次元が嫌がったら、それに逆らわないようにしています。
この休暇を取るリズムも、僕にとっては、そういった意味で、とても自然なことなんです。勿論、仕事をやるときは、かなり頑張ってやっていますよ。(笑)
ガイド:
「さなぎ」のお話といい、生態リズムのお話といい、とても共感します!私は、物理的に休まざるをえないお休み以外、前向きな長期休暇はとれていませんが、一生現役で仕事をやるなら、秋山さんがおっしゃるように、インターバルが必要ですね。でも、やっぱり、1年の休暇は、勇気がいります。(笑)
ICデビュー、成功の王道とは? 次ページへ続きます>>