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野村るり子氏に聞く ロジカルシンキング2(2ページ目)

転職やマネジメントのスキルとして欠くことのできないロジカルシンキング。『面白いほど身につく論理力のドリルブック』(中経出版)の著者インタビューから、役立つ情報をお届けします!

執筆者:藤井 孝一

指示が伝わる!部下が育つ!職場力がアップする!


ガイド:
私は経営コンサルタントをしていますが、「問題がない」という経営者ほど問題を抱えているんですよ(笑)。ですから明確化することが重要だというのは、よく理解できます。ところで野村さんはペンシルバニア州立大学体育学部を卒業され、日米双方のオリンピック委員会指定クラブで体操競技を指導しておられます。スポーツの世界でも、ロジカルシンキングは役立ちますか。

野村氏:
意識はしていなかったのですが、あとで振り返ると、「あ、じつは論理的思考をしていたんだな」と思うことが多々あります。たとえば、私の専門は器械体操なのですが、そこで問われるのは、何度宙返りして何度体をひねったか、ということなんです。2回、3回の宙返りというのはあっても、2.5回というのはありえません。頭から落ちてしまいますからね。

そういう世界では、選手に対し瞬時に的確な指示を出さなくては話にならないのです。まわりくどい話し方はもちろん、あれこれ要求するのもダメ。指示1回につき、ポイントはひとつ。それをクリアしたら次のポイント、また次のポイントと教えていけばいい。

きちんと伝えることによって選手の成績は大きく変わってきます。たとえばアメリカ・カリフォルニア州のUCLA(University of California, Los Angeles)には、すばらしい器械体操のコーチがいます。彼女はもとダンサーで、器械体操の経験はゼロ。選手を触ることも手本を見せることもありません。使うのは言葉のみ。ですが、効果的に駆使することで、選手たちはめきめきと実力を上げ、連勝を果たしています。

その指示内容はじつに具体的。「体を30度左側に傾けて、顎は45度上に向けなさい」といった具合です。「体を全体的にこっちに向けて」などという指示よりよほどわかりやすいですよね。つまり他人に何かを的確に伝えるには、観察力と論理的思考力が必要なのです。

とはいえ、それだけでは、いかにも冷たいコミュニケーションになってしまいます。ですから優れたコーチはちょっとした比喩や事例も上手に使います。たとえば手の動きを指示するときに「箒で床を撫でるように動かして」などと表現したりします。おそらく相手のことを深く思い、「どうすれば伝わるか」をつねに考えている結果だと思いますが。

ガイド:
昨今は部下が年上だったり、外国人だったりするケースも少なくありません。部下の指導に頭を悩ませるマネジメント職も多いと思います。そんな場合にもロジカルシンキングはおおいに役立ちそうですね。

野村氏:
その通りです。言いたいことが伝わらないのは相手がわからずやだからではなく、「自分の伝え方に何かが不足しているのでは」と考えること。それだけで、マネジメント力はずっとアップするはずです。観察力や論理的思考力・表現力、それに事例、比喩などを駆使し、相手にわかりやすく伝えることが必要です。

また、部下の論理的思考能力を培うために、自分のスキルを役立てることもできます。たとえば、1枚の紙にごちゃごちゃにメモしている部下がいたら、「“1メッセージ1ポストイット”に切り替えたら」と提案してはどうでしょうか。

さらに、ポストイットの順番を入れ替えたり、情報の種類別に整理する方法を教えてあげるとよいでしょう。こうした些細なことひとつで、部下の情報整理力がぐっと向上するかもしれません。適切にロジカルシンキングを実践すれば、組織力そのものも格段にアップしていくと思います。



身近なビジネススキルとしてぜひ活用してみたいロジカルシンキング。あなたも身につけてみては?仕事の効率や職場の雰囲気が変わること請け合いですよ!




野村るり子氏に聞く ロジカルシンキング1
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