ビジネスや日常生活での問題解決力がアップする「論理的思考」が身につきます! |
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「飛行機と新幹線 出張に使うならどちらがお得?」など7つの思考法・ツールでビジネスや日常生活での問題解決力がアップする論理的思考が身につく!
Profile■
野村 るり子(のむら るりこ)先生
株式会社ホープス代表
ペンシルバニア州立大学体育学部卒業。慶應ビジネススクールでMBA取得。フルブライト奨学生として、ハーバード大学教育大学院修了。日米双方のオリンピック委員会指定クラブで体操競技指導。2000年、教育コンサルティング会社(株)ホープスを設立。
野村るり子氏に聞く ロジカルシンキング1
時間や字数が限られているときこそモノを言う
ガイド:
大事なのは、話し方よりも、何を話すかですよね。論理的思考力を身につけるとともに、自分が持つコンテンツそのものにも磨きをかけることが求められているのかもしれません。しかし、日本の社会は情緒的で抽象的なところが多分にあるような気がします。ロジカルに話をする若いビジネスパーソンはかえって周囲に受け入れられにくい――ということはありませんか。
野村氏:
受講生には、レッスンを開始する前にきまってこう前置きするんです。「ロジカルシンキングを学んだからといって、時を場所をわきまえずに使っていいというものではないんですよ」と。
論理的思考力は、時間や文字数などの制限があるときこそ、威力を発揮するものです。たとえばある営業マンが、前から会いたいと思っていた会社の社長に、偶然エレベーターの中で出会ったとします。エレベーターが1Fのロビーに着く前に、なんとか自分たちの商品に興味を持ってもらい、次に会うためのきっかけを掴まなければならない。こんなときには、非常に効果的なスキルです。
また非常に多忙な顧客がいて、さして重要でないメールは1スクロールで削除ボックスに入れてしまうとしましょう。この場合、スクロールせずにも読める6行以内で相手の関心を惹きつけなくてはなりません。ここでも論理的思考力がモノを言います。
私自身、ボストンに留学中、素晴らしいチャンスをものにしたことがあります。ちょうど同じ頃、噂である有名なオリンピックメダリストの方がやはりボストンにやってきていることを知ったんです。どこかですれ違うのではと思っていたら、ある日案の定、道ですれ違いました。1分ほど立ち話して別れたのですが、その後、メールをいただきました。
「あなたの話にとても興味を持ったので、ぜひ詳しく聞かせて欲しい」というのです。友人はみな不思議がりましたが、私はあくまでテーマを決め、論理的に彼と話をしただけなんです。
ロジカルシンキングは、こんなふうに適切に使うと非常に便利なのですが、下手をすると逆効果になってしまいます。たとえばもし、受講生が自宅に帰るなり奥さんをつかまえ、「君の話は非論理的だね」などとやれば、どうでしょうか。家庭の平和も壊れてしまいますよね(笑)。なかには大嫌いな上司をギャフンと言わせるために受講しているという人もいますが・・・。私は同じお金をかけるなら、みんなの幸せのために使いましょうよ、と言っているんですが、彼の目的意識は揺らいでいないようです(笑)。
ガイド:
確かに、自分を効果的に印象づけるにはもってこいのスキルですね。ご著書でも紹介されているミッシー(Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive:モレなくダブリなく情報を整理するための概念)なども、覚えておくと役立つ考え方のひとつではないでしょうか。ところでこれまでトレーニングを受けていない人が、ロジカルシンキングを身につけるうえで有効な秘訣はありますか?
野村氏:
語学もそうだと思いますが、自ら使って実験するしかないんです。「ミッシーとは」「グルーピングとは」などという定義をいくら習っても、使わなければ効果がわかりません。実際に試してみて、相手がどう反応するか見ることが一番の早道だと思います。さらに、そのときの状況を日記やメモに残しておくとよいでしょう。たとえば、ポイントを3つに絞って話してみたら効果的だった、とか。メールの標題に主旨を書いておいたら、返事が早かったとか。これらを蓄積してデータ化すれば大変な財産になりますよ。
ガイド:
仮説と検証の繰り返しをおこなうわけですね。自分の問題解決のみならず、相手の問題解決にも役立ちますか。
野村氏:
多くの人が自分の問題が何なのかを、明確にわかっていないのが現実です。たとえばカウンセリングなどで「理由はわからないけど、私は幸せじゃない」などという人がいます。そんなとき、私はまず、彼女が置かれている現状を紙に書き出してもらいます。次に、望んでいる状況を同じように書いてもらい、2つを比較します。すると、足りないものが何かがわかり「自分がもやもやしている理由がわかった」と納得してくれるというわけです。つまり、相手が非論理的なら、論理的にインタビューすることで、問題解決へと導くことができます。