遊休資産を巧く使え! ホテル王ヒルトン
ホテル王コンラッド・ヒルトンの着眼点は「無駄なスペース」。 |
そんな彼が、ホテル業に出会ったのは20歳の時でした。彼の父親が苦しい家計の足しにするために、自宅を改造して、人を泊めたのがホテル業との出会いです。
そんなしょぼくれたスタートを切った彼を成功に導いたのが、自ら考案したマネジメント・コントラクトという経営方式です。これは既存のホテルを次々に買収し、経営を委託するやり方です。業界ではこれをヒルトン方式と呼ぶ人もいるくらいです。
特に、彼はホテルを買収すると、無駄なスペースを見つけては、そこを活かして集客能力を高める工夫をしました。たとえば、あるホテルのロビーに4つの巨大な装飾用の柱があるのを見つけると、彼はその柱の中にショーウィンドをしつらえました。そして香水業者や、宝石商に商品を陳列させました。これは集客につながるとともに、ホテルのイメージを高めることに役立ちました。
この発想の原点は、彼の創業時の体験にあります。彼は創業当時「ホテルはベッドがあれば儲かる」いうことに気づき、存在するスペースは最大限有効に使うことにいつも心を砕くことにしたそうです。「利用できるものをもっとも賢い方法で、無駄なく利用する」これこそがヒルトンを成功に導いた哲学だったのです。
そもそも週末起業とは、時間の遊休部分に着目した起業スタイル!?
週末起業でホテルを始める人はいないでしょうが、ヒルトンの、遊休資産を最大限活用する発想は、新しいビジネスの着想に生かせます。私も事務所をぐるりと見渡しただけで、遊んでいるものがたくさんあることに気づきます。たとえばセミナールームや、ホワイトボード、プロジェクター、カラープリンターなど、いずれもめったに使いませんが、ないと困ります。「これを使わない時間、誰かに貸したいなぁ」とよく考えます。同じような遊休資産は、おそらく事業所の数だけあるわけで、これをかき集めれば、膨大な資産になるはずです。実は、遊休資産の活用をテーマにしたビジネスは、いろいろとあります。たとえば、自動販売機やコインパーキングは遊閑地を活用するビジネスですし、それらの設置場所を紹介する代理業というビジネスもあります。新しいところでは、ネットワークにつながったパソコンのハードディスクの空きスペースを遠隔地で他の用途に活用するというビジネスがあります。
また、広告もある意味、空きスペースの有効活用と言えます。自分の車のリヤウィンドに企業の広告を貼るだけで手数料がもらえるというビジネスもあります。
また、資産といえば、空間だけでなく、時間も立派な資産です。そもそも週末起業とは、時間の遊休部分に着目した起業スタイルという見方もできます。このような発想を持っていると、ひょんなことでユニークな起業ネタを発想できたりします。
次のページはあのケンタッキーおじさんの意外な起死回生ストーリーです