● 社長の給料決めるのは誰?
ところで、この給料、一体誰が決めるのでしょう?
サラリーマン時代には考えられないことですが、起業して会社を作り、経営者になると、自分の給料は自分で考えることになるんです。
意外かも知れませんが、経営者も給与所得者なんですね。そしてその金額を決めるのは、そう、経営者であるあなた自身です!
だからといって「そりゃ、多い方がいいだろう」なんて、大盤振る舞いするとあとで大変なことになります。まず、あなたの給料は会社にとって経費(損金といいます)です。そのため会社は大赤字になります。
それに加えて、あなた個人には所得税がかかります。個人の所得は累進課税です。金額によっては半分税金なんてことも!それに比例して、社会保険料も高騰します。
さらに「今年は儲かったから」と自分にボーナスなんかを出すと、法人税もしっかり取られます。役員への報酬は、損金不算入といって損金にできないのです。
本当にそれだけ儲かる見込みがあるなら、しっかり稼いで、しっかり税金を納めればいいのですが「夢は大きく!」と、会社はぴーぴーなのに、給与ばかり一丁前にとると、税負担だけが重くのしかかることになります。
そんなわけで、経営者ともなると自分の給与にまで頭を悩ませることになるのです。
●自分の給料はこう決める!
では、皆さんどのように金額を決めたのでしょう?特に、最初の年は業績がないわけです。「一体いくらにしたらよいのか、皆目、見当もつかない!」というのが本当のところではないでしょうか?
お聞きした皆さんほとんどが、口をそろえて「必要な生活費から算出した」と言います。そして「自分の給与よりも利益が出たら、自分の会社に投資してしまう」そうです。
中には、「予想以上に利益が出たので役員報酬をもらおう」という人も、一人くらいいるかなーと思いましたが、そういう人は全然いませんでした。 「どうせもらったって税金でとられる。だったら広告宣伝など、事業の投資に使ってしまう」ということだそうです。
もし、あなたが会社を作って「自分の給料を決めなければならない」なら、どうしたらいいでしょうか?
まず自分と家族が生活できる月収を算出します。意外と把握していないのでは?起業前に必ずやりましょう。次にこれを12倍して年収を決めます。初年度はこれを給与額にすれば十分でしょう。
次年度以降は、もちろん前年度の成果を見て判断します。経営者は借入れやリースに対して個人で保証するのが常です。ですから、万が一の時のためにこれらの危険負担分を上載せしておくことが大事です。
もちろん妥当な金額は、その企業の規模や実力によります。大事なことは、給与を決める際、こうした視点を持っておくことなのです。
●社長の給料、ここに注意!
なお、給料というと「お金だけ」と思ったら大間違いです。実は、税法では現物給与という考え方があります。
例えば、会社設立記念品、役員限定の慰安旅行、個人加入の保険、食事代、社宅、役員限定の人間ドックの検診料、役員へのお中元・お歳暮、役員だけの忘年会費用など。これはみな給与とみなされますので注意が必要です。
しれっと会社の必要経費にしているとあとで給与とみなされて、役員報酬に上乗せされ課税されます。世の中には「領収書さえもらえばすべて経費」と思っている人も多いのですが、あとから「それはあなたへの給料だ」と言われて、しっかり課税されますので気を付けてください。
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