朝4時起きの仕事術―誰も知らない「朝いちばん」活用法
著 者: 中島 孝志 (著)
体 裁: 単行本: 206 p
サイズ: 182 x 128cm
出版社: プレジデント社
ISBN : 4833417987
発行日: 2003/11
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「朝4時起き」なら、午前中に8時間仕事ができる。時間をどんどん前倒しに使うことができる。仕事、人生、すべてがうまくいく、早朝活用法のノウハウを全公開。
●今週の選書について
本書は、仕事の生産性を今の2倍アップさせ、自分の趣味や道楽、勉強もたっぷりできてしまう、そんな夢のような生活を実現する方法として「朝4時起き」を勧めています。
著者は、経済評論家、ジャーナリスト、コンサルタントなど、多方面で活躍する中島孝志氏です。氏自らが実践する「朝4時起き」の時間活用法と仕事術をビジネスマンが活用する方法を解説します。
早起き、単眠のススメは、どんな時代にも受け入れられる余地があります。バブル時代には競争に勝つため、景気が悪くなればリストラされないため、昨今のように仕事に魅力が持ちにくい時代には、余暇を活き活きと過ごすために読まれるからです。
本書でも語られるとおり、早起きの効用には、ホルモンの分泌が盛んになるなど、医学的根拠があります。ただし私の場合、心理的効果にも着目しています。
私自身、10年来の早起き実践者ですが、早起きすると世間に先んじた気分になります。それが自信につながります。反対に夜更かしをすると世間に取り残された気分になります。それが自信を喪失させます。この心理的違いは、成果に大きな影響を与えるのです。
●高い志だけでは、早起きできない
なお、以前にも指摘しましたが、この手の本は、早起きの効用に終始するあまり、早起き方法への言及が少ないのが難点です。本書でもその点にはあまり触れられていません。
それに対する著者の答えは「根性で起きろ」ということなのでしょう。仕事ができる、勉強ができる、人脈が広がると魅力だらけなのだから起きられないはずは無いだろうということなのでしょう。
しかし、私のような意志の弱い人間は、そんな高邁な理由だけでは起床に伴う苦痛に打ち勝てません。
マズローの欲求5段階説にもある通り、人とは「生理的欲求」が満たされなければ「自己実現の欲求」を満たす気になれないのです。
仕事や勉強がしたい、人脈を広げたいなどは「自己実現の欲求」です。一方、睡眠欲というのは典型的な「生理的欲求」です。だから、高い志だけでは、早起きできないのは、無理もないことなのです。
●早起きのモチベーションは何か?
よく雑誌などで資格を取得した人や独立開業した人に体験談をインタビューする企画があります。私もたまに取材を受けます。こうした企画では、私は「朝の時間を使いました」などと答えています。
すると結論は「あなたも資格取得(独立開業)のために早起きをしよう」と締めくくられがちです。しかし私は資格取得や独立開業の欲求をモチベーションにして早起きしてきたわけではありません。
私の場合、早起きのモチベーションになっていたのは、満員電車からの回避なのです。実は私は資格取得に挑戦していた当時、乗車率200%という、すさまじい電車で通勤していたのです。
これは、小さな人なら体がういてしまうほど、下手をすると肋骨が折れるほどの混雑です。早起きをして時差出勤すれば、この電車に揺られる苦痛から逃れることができたのです。
これが私に早起きをさせる最大のモチベーションになりました。空いた電車と、始業までの時間は時差出勤をした副産物でした。それを勉強時間にあてたわけです。
●早起きしたことによるご褒美を
あなたも新年にあたり、いろいろと計画を立てたかもしれません。ただ水を差す気はありませんが、どんなに立派な目標も、お題目だけではなかなか実現できません。
それを実現するための具体的な方策まで考えておかないと、来年も同じ目標を立てる羽目になります。
それを実現する方法として早起きによる時間を捻出などを加えておくと、目標の実現はぐっと現実味を帯びることでしょう。
ただ、現実には目標の実現をモチベーションにしても早起きは続きません。それを維持する仕掛けが必要になります。その時、例えば「時差出勤による満員電車の苦痛からの回避」など、早起きしたことによる、原初的なご褒美を用意しておくと効果的です。
目標を実現するためには、自分の根性に頼るだけでなく、「所詮人間は意志の弱いモノ」という前提で、それでも前に進まざるを得ない仕掛けを用意しておくしたたかさも必要なのだと思います。
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