世界を不幸にしたグローバリズムの正体
 著 者 :ジョセフ・E・スティグリッツ鈴木主税(訳)
 出版社 :徳間書店
 単行本 :390 p
 出版日 :2002/05/01
 ISBN  :4198615195
 サイズ : 20
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2001年ノーベル賞経済学者が、大国のエゴを暴きます。WTO、IMF、世界銀行などの国際経済機関が介入した地域に何が起こったのでしょうか? 利益を得たのは誰でしょうか?ちょっと高度な本格的経済書です。


紹介するタイミングとしては、カナナスキス・サミットが開催された週であり、その中でアフリカ支援に関する行動計画が決定するなど、我ながらばっちりだなあと思っています。

著者は、1993年にクリントン大統領の経済諮問委員として、また97年からは世界銀行のチーフ・エコノミスト兼上級副総裁として働いていた人です。

本書は彼が世銀時代にいくつもの発展途上国を訪れ、そこで目の当たりにしたグローバリズムの現実をもとに書かれています。

彼は、エチオピアでIMFの驚くべき政治と算術の世界を目の当たりにしました。そこで決定される政策は、資金を出している市民や、直接影響を受ける途上国の人々ではなく、欧米、ことにアメリカの都合で決まります。

やり方は、救済の対象となる国の主権をおびやかすやり方です。途上国には市場開放を迫り、アメリカの都合の悪い産業については保護貿易を貫きます。

本書では、こうしたIMFの指導のせいで貧困が拡大した例、また東アジア危機、ロシアの失敗、アルゼンチンの破綻などを紹介します。

逆にIMFと距離を置くことで成功したボツワナや中国の例なども挙げています。そしてそれはまさにIMFの政策の不手際であることを指摘します。

私は、本書を読んで少し古いのですが、過去に朝日新聞の「天声人語」で取り上げられた「世界がもし100人の村だったら」の一文を思い出しました。

これは政治学者の故ドネラ・メドウズ著のエッセイが源流なのですがそこに次のような一文があります。

(もしも世界が100人の村だったら)“すべての富のうち59%を6人が持っています。それはみんなアメリカ人です。39%を74人が、残りの2%を20人が分け合っています”

もちろん、グローバリズムそのものが悪いわけではありません。それは貧困を無くし、世界を幸せにする力を持っています。

要は、それを誰が、何のためにやるのか、そして、どうやるかの問題です。本書の最終章では、それに対する著者の提言があります。

いろいろと考えさせられる一冊になることは間違いないでしょう。
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