企業のIT活用/IT経営の基礎知識

Web2.0な日々 こちら側とあちら側(2ページ目)

Web2.0では「あちら側」(提供側)と「こちら側」(ユーザー側)の垣根が低くなりました。「あちら側」の企業としては「こちら側」をいかに巻き込むかの勝負になっています。

水谷 哲也

執筆者:水谷 哲也

企業のIT活用ガイド

ベータ版が次々と公開

ベータ版の事例として有名なのが「Googleマップ」です。
1年近くもベータ版のままのGoogleマップ
1年近くもベータ版のままのGoogleマップ

AjaxというJavaScriptとXML技術を使い、ユーザーを待たせないよう地図の表示をマウスの動きにあわせ表示を行っています。

ベータ版(日本)は2005年7月にスタートし、1年近く経ちますがいまだにベータ版のままです。常に進化し続けるというころで「永遠にベータ版」のままという事例も出ています。ただし企業は完成品を世の中に出すべきだが、その責任を回避しているという批判もあります。

「Googleマップ」ですが最初は地域のお店などが探せる「Googleローカル」と地図を表示する「Googleマップ」でスタートし、2005年10月に統合してブランド名を「Googleローカル」に統一しました。
→ 「ローカル・サーチで町のお店を探す時代が到来」

ところがユーザからはGoogleマップの名前の方がよいという意見が多く、2006年4月にブランド名が「Googleマップ」となりました。これもユーザーからのフィードバックの例です。

地図については「キョリ測」という少し視点を変えたベータ版が公開されました。マピオンの地図上でクリックした経路の距離を測定でき、徒歩や自転車などでかかる時間が分かります。また体重・年齢を入力すると消費カロリーが計算できます。ジョギングする時に最適です。

ルート検索などはこれから実装されるそうで、意見や感想などユーザからのフィードバックを求めています。

ユーザからの要望や不具合報告を集めるのに「株式会社はてな」では「はてなアイデア」という仕組みを構築しています。ユーザーからの要望が多いものから反映できるように株式取引に似た仮想的な市場が用意されています。

皆がほしい株価が上がるのと同じように、人気投票をうまく組み合わせてユーザーからのアイデアを募集します。はてながアイデアを実装すると配当が支払われる仕組みになっています。

アイデアがどうなったかは、状態別アイデア一覧で分かります。「要望中」、「検討中」、「実装済」もちろん「却下」もあります。「あちら側」に「こちら側」をうまく巻き込んでいる事例です。

「あちら側」の内情をブログで公開

Googleでは新しくリリースしたサービスなどをGoogleラボ(英文)で公開しています。
Google Trendsでキーワードのトレンドをチェック
Google Trendsでキーワードのトレンドをチェック

例えば「Google Trends」という新しいサービスが掲載されていますが、このGoogle Trendsでは世界のGoogleで検索されたキーワードのトレンドをチェックできます。

試しに「サッカー,ジーコ,中田」のようにキーワードを入れると、それぞれがよく似た動きで検索されているのが分かります。ネットショップならキーワードアドバイスツールと組み合わせて使うと効果的なサービスです。

新しいサービスの動きなどはGoogleの開発者ブログであるGoogleブログ(英文)で公開されています。これによってどんなサービスがこれから登場するのか分かります。つまり「あちら側」の内情をブログで公開していることになります。

「こちら側」から依頼することも

「たのみこむ」というサイトがありますが、このサイトでは「こちら側」のユーザーが商品をリクエストできます。

復刻してほしい商品やこんな商品があったらいいなあと思う商品をリクエストボードに掲載し、多くの賛同者が集まれば、それだけ見込み客が見込めますのでリクエストに答えるメーカーが出てきます。

つまり「こちら側」から「あちら側」を動かすことができます。少し前まで、こんな仕組みは不可能でしたがインターネットの発展と共に実現できるようになりました。

個人でもブログでこんな商品が欲しいと書き込みし、賛同した人からたくさんのコメントやトラックバックがついた場合、検索エンジンで新商品開発のネタを探しているメーカーの開発者が見る可能性もどんどん高くなっています。

Web2.0時代となり、「あちら側」と「こちら側」の垣根が低くなりました。「あちら側」の企業としては「こちら側」をいかに巻き込むかの勝負になっています。

関連ガイド記事

「Web2.0な日々 ユーザーを待たせない」
「Web2.0な日々 ロングテール理論」
「Web2.0な日々 APIを使いマッシュアップ」
「Web2.0な日々 レコメンデーションを活用」
『Web2.0な日々 自分だけの検索エンジン』
『Web2.0な日々 松阪肉それとも松坂肉?』
『Web2.0な日々 RSSマガジンの時代へ』
『Web2.0な日々 CGMでマーケティングの時代』
『Web2.0な日々 セレンディピティ能力を磨く』
『Web2.0な日々 セマンティックス・ウェブへ』
『Web2.0な日々 ソーシャルブックマーク共有』
『Web2.0な日々 地域のお金は地域へまわす』
【編集部おすすめの購入サイト】
Amazonで企業経営関連の書籍をチェック!楽天市場で企業経営関連の書籍をチェック!
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます