会社にとって情報の共有化が大切なことは分かっていますが、なかなかうまくいきません。今回は情報の共有化をテーマにみていきましょう。
昔は朝礼ですんだ情報の共有化
会社の規模が小さければ毎日、社長が朝礼を行い会社の動きを伝えます。昔は朝礼ですんだ情報の共有化 |
社員数が10名ぐらいまでなら、休んでもすぐ分かり、翌日、社長が休んだ社員へ朝礼の内容を伝えることが可能です。しかし社員数が増えてくると、誰が休んだか把握するのが大変になってきます。
また組織も大きくなり、本社と離れた土地に営業所を作る、支店を出すとなると物理的に朝礼は無理です。そこでITをコミュニケーションツールとして活用することになります。
ITの活用と言っても別に難しいことではなく、全社員にメールアドレスを付与し、社長が一斉にメールを流すだけです。
メールを読む読まないは朝礼の聞く聞かないと同じですので、まずは情報を全社員に伝えることが大切です。これが情報の共有化の第一歩です。
もちろんメールは社長が出さなければなりません。朝礼を社長代行がしゃべればインパクトがないのと同じで社長の手で出さなければ相手に伝わりません。キーボードを打つのに時間がかかっても、情報伝達こそが社長の仕事です。またそういう社長の姿勢を社員は見ているものです。
情報の取捨選択は情報の閲覧者が行う
情報の共有化で次に問題になるのが勘違いする管理職をなくすことです。社長と一般社員との間をフラットな組織にしても、組織としてはどうしても縦になります。人数が増えれば社長が全社員の行動を把握して、指示したりするわけにはいきません。社長と一般社員との間に課長や部長などの管理職が必要となります。
問題は組織の間に入る課長や部長の判断で情報が流れたり流れなくなってしまうことです。
トップに近いほど情報が速く手に入りますし、量も多くなります。困るのが手に入れた情報が多くて速いから管理職なんだと勘違いする人物が出てくることです。
例えばこんなことはありませんか?
竹やりと機関銃で行う議論
会社で何かテーマを決めて議論を行いますが、なかなか議論になりません。どうしてでしょうか?竹やりと鉄砲で行なわれる議論 |
社員は自分の持っている情報を駆使してテーマについて考えます。ところが管理職は持っている情報量が違います。議論となると竹やりと鉄砲で戦うようなことになります。
部長:「君の意見はよくわかったが、福岡営業所ではこういう事例が起きているようだ、この点ではどうかなあ。」
社員:「その視点は考えもしませんでした。さすがは部長ですね。」
部長:「いやなに。」
これは、部長がもっている情報のストックの中から取り出してみただけです。社員が知らない違う情報を持っていただけで、議論としては前に進んでいません。
このように部長が持つ情報量を鉄砲とすると社長の持つ情報量は機関銃になってしまいます。社員が社長と議論するといっても最初から歯がたちません。
では、どうしたらよいのでしょうか?