企業のIT活用/システム導入方法

IT投資の失敗の原因は社長にあり!?(3ページ目)

「ITを導入したが、うまく活用できず失敗だった。」と言う話を経営者からよく聞きます。原因は色々とありますが、経営者に起因することが多々あります。どうすればよいのでしょうか?

水谷 哲也

執筆者:水谷 哲也

企業のIT活用ガイド

その受注管理システム、本当に必要なの?

取引先から営業部門に電話がかかってきました。
電話
取引先からの電話

「昨日、発注した部品がまだ届いていませんがどうなっていますか。」
「すいません。すぐ伝票を調べて連絡をします。」

営業が調べたところ受注伝票に記載がありませんでした。さんざん調べようやく原因が判明しました。

営業マンが外出している間に電話をとった総務部の社員がメモに書いて、机の上に貼っておいたところ営業マンが帰社した時にメモの上に書類を置いてしまいメモに気づきませんでした。

問題に感じた経営者が解決策はないかとITベンダーに相談しました。

ITベンダーからは受注管理システムを導入し、管理を徹底しましょうと提案がありました。経営者はITのことはよく分からないし、受注管理システムを導入したら問題解決するならと発注しました。受注管理システムが稼動しましたが、また同じ問題が発生してしまいました。

なぜ失敗してしまったのでしょうか?
先ほどの3つのステップの1番目を少し変えたステップで考えてみましょう。

ステップ1 なぜ、そのシステムを導入しないといけないのか
ステップ2 何をやらないといけないか理解する
ステップ3 理解したことを実行する

ステップ1:なぜ、そのシステムを導入しないといけないのか

受注管理システムの件では、例えばITベンダーに受注の電話が客先からかかってきて、管理帳票が出てくるまでの流れについて説明してほしいと依頼します。そうすればこの会社での問題が受注管理システムを導入しただけでは解決できないことが分かります。

この会社にとって重要なのは取引先からの注文に確実に対応することにより顧客満足度を上げることです。経営者はこの問題を何とかしたいと考えています。

トラブル発生の原因は電話を受けた総務部の社員が伝票でなく、メモに書いてしまい、その連絡がうまく伝わらなかった点にあります。ITベンダーから提案のあった受注管理システムは入力した後の管理システムです。つまり入力できなければ問題は解決できません。

ステップ2:何をやらないといけないか理解する

総務部の社員が伝票の場所を知らなかったのなら、誰もが気がつく位置に伝票を置きます。また顧客からの電話注文に対応する業務の流れを決め、壁に貼っておくのも有効です。

理解しなければいけないのは業務の流れに問題があったことで、受注管理システムを導入しても業務の流れが改善されなければ、同様の問題が発生します。

安易に導入してしまうと、「ITを導入したのはよいが、うまく活用できず失敗だった。」ということになってしまいます。これは何をすべきか理解しなかった経営者に問題があります。

IT用語はCRMやSCM等の3文字熟語が多く、意味が分からないお経がありがたいように、なにやら導入するだけで問題を解決してくれる「魔法の杖」のような響きがあります。

ですが、そんなうまい話はありません。経営者がITが分からないということで業者・担当者まかせにせず、理解できなければ理解できるまで聞くことです。これが経営者の勉強です。

ステップ3:理解したことを実行する

問題点を理解した経営者が指示を出しました。

電話を受けた社員が営業部門かどうかにかかわりなく、受注内容を伝票ではなく、直接、受注管理システムに入力する業務の流れとする。営業マン以外が入力した時は社員コードで識別して、必ず営業マンがその日の内に受注内容を再確認できるよう警告などを出すシステムにしたい。

この受注管理システムなら営業マンが画面で出荷状況確認が即座に出来、顧客対応スピードを速めることが出来る。これで顧客満足度をあげていこう。


この会社のIT導入はきっとうまくいくでしょう。
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