ITセミナーで講師の話を聞く |
部品メーカーの社長が中小企業支援センター主催のITセミナーに参加しました。
ITセミナーでは業種は違いますが社長と同じ部品メーカー社長が、一般消費者向け商品を開発し、ホームページで売り出し成功したという講演がありました。
社長の会社では親企業からの発注が減り気味で、何とか売上を補完できる方法はないだろうかとちょうど考えていたところでした。社長はさっそく自社でもホームページによる直販をやろうと考え、会社に戻りパソコンができる部下に指示を出しました。
「君はパソコンが得意だったね。今日セミナーで聞いた話ではホームページで売り出すのがとても有効なんだそうだ。ウチも同じ部品メーカーだし、一般消費者に売れるような商品も作っている。ぜひ君やってくれないか。」
ところが部下からは「そんなの無理です。」と返事が返ってきました。そのあとに断る理由が続きましたが、SEOやら専門用語がいくつも出てきたため、「もういい。」と話を打ち切りました。
あきらめきれず部下がなぜ断ったのかITセミナーを主催した中小企業支援センターのアドバイザーへ相談に行きました。
一連の話を聞いた中小企業支援センターのアドバイザーからは「社長!気は確かですか?そんなやり方でIT導入を行えば絶対に失敗しますよ!部下が断るのは当然ですよ。」という言葉が返ってきました。
IT導入には3つのステップが必要
「ITを導入したが、うまく活用できず失敗だった。」と言う話を経営者からよく聞きます。原因は色々とありますが、経営者に起因することが多々あります。IT導入で成功するには3つのステップを踏まなければなりません。
ステップ1 | やるという意欲がある |
ステップ2 | 何をやらないといけないか理解する |
ステップ3 | 理解したことを実行する |
問題はホームページで商品を直販しようと言う経営者自身がパソコンやインターネットを普段からさわっていません。こうなるとステップ1のやるという意欲はあっても、ステップ2の理解ができません。
何をやらないといけないか理解する
ホームページで直販を行うため、ネットショップを構築するだけでしたらITベンダーに発注すればモノはできあがります。ただしネットショップを作るだけで成功したのは1995年頃のインターネット黎明期だけです。当時はネットショップがまだなく、立ち上げることに話題性がありました。テレビや新聞などマスコミに取り上げられ、それが有効なプロモーションになりました。競合がない状況ですのでネットショップにたくさんのアクセスが集まりました。
当時は手本も何もない状況から苦労して作りあげないといけませんでした。ネットショップ自体を立ち上げることが大変だった時代です。ところが現在では簡単にネットショップが作れます。
つまり、ネットショップを立ち上げてもニュース性はなく、実店舗を出すのと同じように、プロモーションにコストや手間をかけなければなりません。
「しかし、インターネットを利用する人口は増え、それにつれて市場が拡がっているはずだ」と言う経営者もいますが、市場が拡がるということはその市場に参入する競合も増えているということです。
今まで実店舗では狭い商圏で商売をしていましたが、ネットショップを出すことにより確かに商圏は拡がりますが、自社の今までの商圏になかった競合店、例えば銀座や六本木にある一流店と競争することになります。
経営者はまず何をすべきなのでしょうか?
もしネットショップで直販を始めようという意欲があるのなら、まず理解しなければなりません。理解する。つまり勉強です。
経営者自身がインターネットを使っていないのなら、まず使ってみる。また成功している同業者のサイトを調べることが第一歩です。
理解するために勉強する |
ネットショップで実際に自分で買って体験をします。買物カゴに入れた後にどう決済が進むのか、またネットショップの店主からどういうメールが届くのか。またしばらくするとDMメールが届きますが、なるほどこういう内容を書くのかと体験・理解することです。これが第一歩です。
経営者が理解できたとしても次のステップである「理解したことを実行する」が大きな壁になります。