しかし、島津氏は天下統一を目指す秀吉とぶつかることになります。結果として秀吉により領地を減らされ、薩摩・大隈・日向の三国を支配することになります。
やがて、島津氏の戦後処理に石田三成が秀吉から派遣されてきました。
最初は占領軍の総大将のようなイメージで警戒していた島津氏ですが、三成の公明正大な態度に認識を少しづつ変えていきます。
「派遣されてきた石田三成という武将だが、どうも思っていた人物と違うようだ。検地に際しても、賄賂を取って手加減してはいけない。農民に対して狼藉したり威張ったりして反感を買うようなことは厳に慎むことと申し渡しているようじゃ。」
「さすがに秀吉が派遣するだけのことはある。それに見事に部下を統制しているようじゃ。」
三成の人となりに感心し、やがて色々と相談をするようになりました。
●帳簿の導入 |
「三成殿、わが島津はこれから、どうやっていけばよいでしょうか?」
「島津殿、時代は大きく変わりました。」
「秀吉公との戦でわかられたと思うが、戦をするにしても兵が強いだけでは駄目で、武器や兵糧の確保、またその運搬などが要となります。秀吉公が他の武将と比べて特に優れている点は自軍の状況をしっかり把握し、必要な手を打っているからです。どうやって自軍の状況を把握しているか分かりますか?」
「さあ、とんと分かりません。ぜひその方法をお教え願いたいのですが。」
「島津殿、帳簿ですよ。」
「帳簿!」
「兵に払う給金にしろ、兵糧の確保、運搬など、しっかりと自軍の状況を管理しようと思えば、お金の状況を管理するのが基本です。秀吉公が、長浜城主になられた時に近江の人間を多数採用し、帳簿による金銭管理の仕組みを作り上げられました。中国大返しの際に姫路城で金銀や米を兵に支給したり、小田原攻めで物量を見せつけたりできるのも、しっかりとした帳簿の裏づけがあるからです。
「なるほど。ぜひ帳簿による金銭管理の仕組みをお教え願えませんか。」
●会計システムの導入 |
昔も今も会社の現状を知る一番の方法は帳簿です。
簿記の知識がない、面倒ということで税理士事務所へ領収書などを渡し、決算まで丸投げしていては企業を経営している姿とはほど遠いものになります。
帳簿をつける等、実作業はアウトソーシングしてもかまいませんが、月次決算結果をすぐ手に入れ、自社の経営状況はどうか、何が課題なのかをしっかり把握しましょう。
細かな仕訳については勉強しなくてもかまいませんが、売掛金、買掛金と現金との関係はどうなっているのか。資金繰りに問題は発生しそうにないか等、勘所はおさえなければ駄目です。
経営にスピードが要求される時代です。税理士事務所から結果が来るのを待つのではなく、会計ソフトを導入してリアルタイムに経営状況が分るようにするのも大切です。
さて、帳簿システムを導入した島津氏がどうなったのか見てみましょう。