業界常識は相手に通じない
発注側の中小企業も受注側のITベンダーもそれぞれ企業文化が違います。ですのでお互いに、相手が自分の業界について、ほとんど知識のない新人のつもりで説明する配慮が必要です。また言葉の意味を確認するのも重要です。またレビューを行うことが効果的です。
レビューを行う
レビューの目的は、文書化された成果物を、複数の人が様々な視点で確認することにより、上流段階で品質を確保することにあります。各段階でももちろんレビューは必要ですが、特に最初の要求定義段階でしっかりレビューを行い、要求自体のあいまいさや矛盾、漏れを防ぐことが肝心です。
先ほどの事例のように、納入テストで欠陥が見つかると、設計のやり直し、また修正が他に影響を与えないか再テストが必要等、手直しに工数がかかります。 出来るだけ上流段階で欠陥を発見し対処することが大切です。
レビューに出席するレビューアには、販売部門・企画部門などのシステムを使うユーザ部門、また ITベンダーにも参加してもらいます。
ここでの注意点はレビューに参加するための工数も考慮したスケジュールをたてておくことです。 忙しくてレビューをする時間がないと、上流段階で品質確保が出来なくなります。
ウォークスルー
レビューにはやり方がいくつかありますが、その1つにウォークスルーという方法があります。この言葉はもともとは演劇で使われている言葉で、舞台稽古時に、台本を読みながらポイントを確認する練習のことです。要求定義では設計者が仕様を説明し、参加者がそのポイントを理解しながら進めます。
またウォークスルーを行うことにより、全員で設計の内容やポイントとなる部分、不具合などの情報を共有することができます。
あるウォークスルー
説明者「次にこの画面で台帳の所有者情報の変更登録をします。つまり移転登録です。」レビューア「先ほど移記登録の説明がありましたが、同時に記入内容の変更と所有者が変わる時はどの画面で、どう操作したらよいのですか?」
ITベンダー「同時に変わることって、あるんですか?」
レビューア「ええ、台帳の記入内容の変更と所有者が同時に変わることは多いとは言えませんが、発生することもあります。」
ITベンダー「仕様確定時のお話ですと、別々のものだと伺っていましたので、そうすると登録画面を統合して、どちらにも対応できる形の方が良いかもしれませんね。」
レビューア「確かにそうですね。では、そういう形で画面の方は作成いただきけませんか。
いかがですか? ぜひ効果的にレビューを行い、上流段階での品質の確保を進めてください。