企業のIT活用/システム導入事例

みずほ銀行のトラブル原因に迫る(3ページ目)

みずほ銀行のシステムトラブルが続いていますが、中小企業でもシステム統合で同様のトラブルが起きる可能性があります。原因は?回避策は?

水谷 哲也

水谷 哲也

企業のIT活用 ガイド

中小企業のIT導入・活用支援コンサルタント。大阪府よろず支援拠点、三重県よろず支援拠点、商工会議所などでの累積相談件数が5,000件以上。三重大学、京都橘大学などで情報処理教育を担当。

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根本原因はどこに?

今回のシステムトラブルの原因は顧客の視点で、システム統合を考えなかったことに尽きます。 では、顧客の視点とは一体何なんでしょうか?

顧客にとっては銀行の統合はどうでもよい話です。(ただ、倒産されたら困りますが)銀行の統合より、顧客の関心事はサービスがちゃんと提供されるかどうかです。サービスとはATMが使える、振込や自動引き落としが出来ることです。

これらのサービスは今までも提供されていたものですので、今回のシステム統合の目的は顧客の視点で考えると顧客に迷惑をかけないにあったはずです。これを目的におけば、今回のようなトラブルは起きなかったはずです。

最初の目的は、「顧客に迷惑をかけない」でしたが、途中から目的を別のところにおいてしまいました。それは裏側に隠れた目的で、「使い慣れた自社のシステムを採用させ、主導権をとる」です。

顧客という言葉が入りますか?

報道によるとワンバンク方式で統合するという合意の後に、旧富士銀行行員から「第一勧銀のシステムは使い勝手が悪い」という声が上がったそうです。

さて、発言なんですが「○○にとって、第一勧銀のシステムは使い勝手が悪い」とすると、○○に顧客が入るのでしょうか?

入るのであれば、第一勧銀のシステムを使っていた顧客に対して、旧富士銀行はアンケート調査でもやったのでしょうか?

結局は、顧客の視点を忘れて、それぞれに使い慣れたシステムの存続を主張しあった、ぶつかり合いが起きてしまいました。

中小企業でこそ起きる

ここまで読まれて、ウンウンとうなずいておられる方、まだまだ対岸の火事と思っておられませんか?同じような失敗は中小企業でこそ起きます。

中小企業のほとんどはオーナー社長です。例えば、業務提携の合意となり、どちらかの情報システムに統合した方がメリットが多いと判断された時に、的確に対応できますか?

会社を大きくしていく段階で、やっとの思いで稼いだ利益の中から設備投資をして、情報システムの整備をしてきたのが中小企業です。ITベンダーに支払うお金が足りなくて、自分の給料を遅配にしてまで、育て上げたきたシステムです。それを割り切って捨てられますか?

では、感情に左右されない解決策があるのでしょうか?

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