事例2~分掌変更による退職
同族会社で多いのが、社長が一線を退いて会長等になったときに、退職金を支給するケースです。通達には、分掌変更後の役員報酬が50%以上減少しているような場合には退職金を支給できる、とするものがあるため、それを根拠に役員退職金を支給する会社もありますが、最近の判例にもあったように、実質が伴っていなければ役員賞与として税務調査で否認される可能性があります。
実態は社長であった頃とほとんど変わっていないのに、形式だけ役員報酬を半分に減らした、ということではもちろん認められません。あくまで実態判定で、ということを忘れないで下さい。
事例3~退職金の分割払い、退職年金
役員退職金が高額なため、分割払いしたり、退職年金として支給するケースもあると思います。分割払いするときの注意点は、あまりに長期にわたる分割払いですと、役員退職金を一括で損金計上することができなくなってしまう、ということです。では、どれぐらいの分割期間であれば一括で損金計上できるかですが、税務上も明確に定められているわけではありません。死亡退職金の場合には、被相続人の死亡後3年以内であれば、相続税の非課税の対象とされていますから、このあたりを参考にして下さい。いずれにしても、早いうちに払うに越したことはありません。
また役員退職金を年金で支給する場合には、退職金を一括で損金計上することはできません。この場合は、その支給の都度、損金計上することになります。
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