事業承継税制の見直しでは方針一致?
一方、政府税制調査会、自民党、民主党の三者間で比較的方向性が一致していると思われるのが、事業承継税制拡大についてです。三者とも中小企業の事業承継における負担減を目指す、という点では今のところ、意見が一致しているように見えます。現実的に改正の対象となりそうなのは、非上場同族株式を相続する際の評価減の特例で、現在の10%減を条件付きで80%減に改正する案が自民党内で出ているようです。条件としては、5~7年間の事業継続、従業員数の80%以上の雇用継続、税務署への事業計画の提出(原則毎年)などの義務付けが考えられています。
平成19年度税制改正で、「特定同族会社株式等に係る相続時精算課税の特例」が新たに創設され、相続時精算課税を選択した際に一定の要件を満たせば、最大3,000万円まで非上場同族株式等の贈与をいったん無税で実行できることになりました。
ただ、相続時精算課税(相続財産に足し戻し)であるため、直接的な減税とはなりにくく、それに加えて小規模宅地等の特例や特定事業用資産の特例との併用ができないので、実務家の評判はあまり良くありません。そのため、非上場同族株式にも小規模宅地等と同じように80%の評価減特例の創設が期待されていますが、今のところ実現するかどうかはわかりません。
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