今年は異例の展開
というのも、衆議院では自民党、参議院では野党がそれぞれ過半数を握っているため、調整は一筋縄ではいきそうにありません。例年であれば、12月中旬に与党である自民党から税制改正大綱が発表され、それがほぼそのまま国会で可決され、施行されるという流れなのですが、今年は民主党も税制改正大綱を独自に発表する見込みです。両者のすり合わせがどうなるのか、全く分らない状況です。
証券優遇税制における意見の食い違い
そんな中、2008年度税制改正の目玉となるであろう証券優遇税制について、早くも意見の不一致が表面化し出しています。証券優遇税制は、上場株式等について譲渡益は来年末まで、配当金は再来年の3月まで、それぞれ税率を10%に半減させる優遇措置です。証券優遇税制は、平成19年度税制改正において打ち切られるはずだったのですが、自民党の意向で1年間の延長となった経緯があります。
その1年間の延長の末、廃止するのかそれともさらに継続するのかが、来年度税制改正に委ねられているのです。
政府税制調査会は10月16日の会合で、証券優遇税制を廃止する方向でまとまったようです。一方、自民党内には証券優遇税制の延長を望む声もあり、政府税制調査会とは意見が一致しません。それに加えて、参議院を握る民主党は証券優遇税制廃止の立場を取っています。いったいどうなるのやら、といった感じです。
政府税制調査会は、将来的には金融商品から生じる損益を一体化させて課税する「金融所得一体課税」への移行も考えているようですが、このままでは導入に相当な困難が予想されます。
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