例えば、保険積立金1000万円の場合
それでは、終身保険を払い済み保険に変更して、手元資金なしで節税対策が実行できる場合とはどういった場合なのでしょうか。例をあげてみます。例えば、過去10年間において毎年100万円を生命保険料として支払っていたとして、その保険の種類は終身保険で、会社が契約者であったとします。この場合は、現在の企業のバランスシート(貸借対照表)を見ると資産の部に、「保険積立金」が1000万円計上されているはずです。
この時点での解約返戻金が700万円とすると、保険積立金1000万円との差額である300万円が隠れた損失ということになります。
この終身保険を「払い済み保険」に変更すると、その含み損といえる300万円を顕在化することができるのです。詳しくは、法人税基本通達9-3-7の2(払済保険へ変更した場合)に記されているのでご覧ください。そのまま資産に計上しておいてもかまわないのですが、積極的に節税対策に使うこともできます。
終身保険を払い済みにするかどうかは、節税対策が可能であるからという理由でするべきではないのは言うまでもありません。生命保険を見直そうと考えているのであれば、単に「解約」ではなく保障が残る「払い済み」という方法も有効な選択肢の1つと言えるのではないでしょうか。
(参考)法人税法基本通達 9-3-7の2(払済保険へ変更した場合)
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