節税対策/節税対策関連情報

回収不能の債権は積極的に償却を(2ページ目)

貸倒れが発生すると資金繰りを一気に圧迫し、タイミングによっては銀行取引の停止・連鎖倒産という最悪の事態も考えられます。経営者の方は常に与信管理に気を使っていただきたいところです。

今村 仁

執筆者:今村 仁

中小企業・個人事業主の節税対策ガイド

相手が小規模な事業者の場合

まず、会社更生法や民事再生法に基づいて法的に債権が切り捨てられた場合には会計処理上・税務処理上それほど悩むケースはありません。取引先がそのような状態に至ることは必ずしも多いわけではありません。特に相手が小規模の場合には法的整理に入るケースはもっと少ないのではないでしょうか。

そのような場合に、その会社の債権者が集まり任意の債権者集会により債権の切捨て案や返済計画を立てることがあります。このような場合でも合理的に定められた再建案であれば貸倒れの償却が認められます。債権者同士の話合いにより、その後の処理案を定めるということも重要になります。

積極的な債権放棄とは

また、先方の財務状況が悪く債務超過の状態が継続しており、かつ回復の見込がなく債権の回収が困難である場合には、こちらから積極的に債権放棄をしてしまうという方法もあります。債権放棄は書面により債務免除額が明らかになっていなければなりません。

子会社の債権放棄については寄付金とみなされるおそれがありますので専門家にご相談を。

継続的取引停止の場合

最後に、先方の状態が悪いのですでに取引は停止しているのだが、未だ回収ができていない場合です。この場合は取引を停止してから1年以上を経過しているものの、同一地域の取引先の債権を回収することにかかる経費よりも取立額のほうが少ない場合などの条件が整っていれば貸倒れの処理が税務上可能です。

ただし、継続的な取引が停止されるということが前提となっていますので、たまたま発生した土地の売買取引などは対象になりません。また、売掛債権などに担保がある場合には、その担保部分については貸倒れが認められませんので注意してください。

<参考>
法人税基本通達 9-6-1 金銭債権の全部又は一部の切捨てをした場合の貸倒れ
法人税基本通達 9-6-2 回収不能の金銭債権の貸倒れ
法人税基本通達 9-6-3 一定期間取引停止後弁済がない場合等の貸倒れ

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