「企業が求める力」は、授業で獲得するのが、王道だ。
一人でコツコツ勉強しても、大切な力は身につかない。大学だからこそ獲得できることを、あらためて大切にしよう。 |
よって、従来の「サークルの部長をやってました」「アルバイトで売上トップになりました」「ヒッチハイクでアメリカ横断しました」「イギリス留学しました」といった、課外活動の成果だけでは、もう、企業の人事には響かない。なぜならば、サークルの部長をやってたら必ずしも「リーダーシップ」が身につくわけではないし、アルバイトでトップになったからといって必ずしも「コミュニケーション力」があるとは限らないし、アメリカ横断したからといって必ずしも「ストレス耐性」があるわけはないし、留学したからといって「交渉力」があるとは必ずしも限らないからだ。
人事はそんなトピックスでは食い付かない。もっと長いスパンで、ずっと打ち込んできたことを評価する。なぜならば、「企業が求める力」は、短期間では身につかないからだ。
「アルバイトは3年間続けたんですよ!」
「サークルは3年間続けんですよ!」
と思うだろう。でも、アルバイトもサークルも、「企業が求める力」を身につける養成機関では決して無い。君の意欲と環境に左右される。よって、その「経験」だけでは、企業は素直に話を聞けないのだ。
しかし、授業ならどうだろう。授業は少なくとも半年以上出席し続けるし、何よりも評価するのは教員だ。もし最高の評価を取ったなら、それは第三者が君を認めたことになる。他の学生と比べて君の評価は高いという、客観的な「事実」なのだ。さて、例えばアルバイトならどうだろう。もし「アルバイトでコミュニケーション能力を身につけた」とPRしても、自分で勝手にそう思い込んでいるだけかもしれない。店長や同僚、そしてお客様が口を揃えて「君のコミュニケーション能力は素晴らしい」と褒め称えてこそ、その「コミュニケーション能力」は「事実」に近づくかもしれないが、授業の評価よりは客観性に欠けると言わざるを得ない。
授業における最高評価は、まず無遅刻無欠席であり、課題はすべて提出、そして授業中における発言や発表など、すべてをクリアしなければ取れない。リクルートが策定した「基礎力」において言えば、
- 行動持続力…率先して行動し、それを習慣づける。
- 自信創出力…いわゆるポジティブシンキング。モチベーションを持ち続ける。
- 課題発見力…課題に気づき、整理する。
- 言語的処理力…文章の要旨を把握し、その目的を理解する。
- 論理的思考力…すでに集めた情報を組み合わせ、分析し、構造的に理解する。
- 親和力…一緒に働く仲間と信頼関係を築く。
- 協働力…目標に向けてチームワークを発揮し仕事を進める。
- 統率力…いわゆるリーダーシップ。組織全体を把握する。
- 感情制御力…感情に流されない。
- 計画立案力…課題を解決するための計画を立案する。
- 創造的思考力…全くのゼロから思考する。オリジナリティな発想をする。
- 数量的処理力…計算する、グラフ・表を読み取る。
- 実践力…立案した計画を実行する。
みんなは学生だ(私もつい先日まで)。企業は学生であることを分かった上で採用するんだ。なのに、なぜわざわざ課外活動で自己PRする必要があるんだろうか。素直に授業で学んだことをPRすればいい。それは知識だけでなく、その学習プロセスにおいて身につけた力、まさに「企業が求める力」をPRすることが、正しいはずだ。
「授業で身につけた力なんて、思いつかないよ!」
そんなことないよ。一つぐらいSやA(または優)がついた授業があるだろう。その授業で君は「何か」を教員に認められたんだ。そしてその「何か」を発揮する努力を「何か」したはずだ。それを、上記の「基礎力」から引っ張り出してみよう。立派な自己PRになるはずだ。そもそも、学内には数え切れないほどのたくさんの授業があるはずだ。その授業の中から、真剣に面白い授業を探したことはある人は、結構少ないんじゃないかな(単位が取りやすい授業は探したかもしれないけど)。
これからの大学が、在学生のキャリア形成支援のために採るべき道の一つは、履修する学生にその授業内容を詳しく明示することと、その授業で身につけることができる「力」の明示をすること、そして卒業生の「品質保証」をすることなのかもしれない。
※「07年春主要100社採用計画調査」をみると、企業は「成績」を重視していない。これは「成績」と「企業が求める力」とがリンクしていないことを意味する。本当にそうだろうか? 企業は大学で教えられている授業の内容と、成績と、入社後活躍する人材とに相関関係が無いかどうか、もう一度確かめるべきだ。概して、成績優秀な学生は、就職活動もうまくいっているはずなのだから。
※とは言っても、全くアルバイトやサークルの経験が役立たないというわけではない。あくまでもそのプロセスで得た力をPRしなくてはいけないことを忘れてはならない。
※記事「授業を通して企業が求める力を得る!その1」
「授業を通して企業が求める力を得る!その2」はこちら!
※とは言っても、全くアルバイトやサークルの経験が役立たないというわけではない。あくまでもそのプロセスで得た力をPRしなくてはいけないことを忘れてはならない。
※記事「授業を通して企業が求める力を得る!その1」
「授業を通して企業が求める力を得る!その2」はこちら!