住まなくなったら貸せばいい(?)


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家賃収入でローン返済が相殺できるほど、世の中は甘くない(?)
近頃は耳にしなくなった「負け犬」というフレーズ。受けるイメージとしては『人生の負け組』と言わんばかりの一大ブームでしたが、「負け犬」にグルーピングされた30歳以上の独身女性が、引き続きマンション購入の一翼を担っている事態は、現在も不変のようです。「女性向けマンション購入セミナー」を開催すると何十名もの人がすぐに集まり、熱心に勉強していますが、こうしたセミナーで必ず聞かれるセールストークに


  「結婚や実家への帰省などでマンションに住まなくなれば、貸せばいい」

があります。さらにエスカレートすると「賃貸時の家賃がローン返済額を上回れば、不動産収入にもなります」などという始末で、個人的な意見としては実に無責任であると感じておりますが、賃貸に出す場合には以下の点に留意して下さい。


管理費を借り主に負担させるな!


最も誤解されているのが管理費の負担者についてです。マンションの賃貸物件情報を探すと

  敷金1ヵ月  礼金1ヵ月  家賃9万5000円  管理費3000円

といった表記を目にします。どうやら管理費を借り主に負担させようとしているようですが、国土交通省が作成する「マンション標準管理規約」では


 マンション標準管理規約 第25条(管理費等)

区分所有者は、敷地および共用部分等の管理に要する経費に充てるため、次の費用を管理組合に納入しなければならない。

 一 管理費
 二 修繕積立金


としており、管理費の負担者を区分所有者、つまり「貸し主」としています。標準管理規約は行政が指し示すマンション管理に関する指針ですので、当該規約に違反しても法律に抵触するわけではありませんが、読者の皆さまがお住まいのマンション管理規約も、恐らく同じ内容が条文化されているはずです。管理規約は「居住者全員が守るべきマンション生活のルール」ですし、規約の内容を定めたのは“皆さん”ですので、決めた以上は守らなければいけません。

なかには、「修繕積立金」は貸し主が負担し、一方の「管理費」は借り主が負担すると思っている風が区分所有者はもとより、不動産業界内にもあるように感じますが、正しい理解が欠かせません。

管理費および修繕積立金ともに、賃貸に出しても負担するのは貸し主です。


敷地内駐車場の契約は解除される


次に、敷地内駐車場(以下、単に「駐車場」とする。)の取り扱いについても誤解が散見されます。貸し主(区分所有者)が居住中に契約していた駐車場を、専有部分を賃貸に出す際に「家賃10万円 駐車場あり」として入居者を募集する行為が目につくからです。


 マンション標準管理規約 第15条(駐車場の使用)

管理組合は、別添の図(省略)に示す駐車場について、特定の区分所有者に駐車場使用契約により使用させることができる。
2 前項により駐車場を使用している者は、別に定めるところにより、管理組合に駐車場使用料を納入しなければならない。
3 区分所有者がその所有する専有部分を、他の区分所有者又は第三者に譲渡又は貸与したときは、その区分所有者の駐車場使用契約は効力を失う。


マンション標準管理規約では、マンションを賃貸に出すと「従前の駐車場使用契約は解除され、その効力は継続しない」としており、非居住者には駐車場の使用継続を禁止しています。管理費同様に、読者の皆さまの管理規約も同じであると推定しますので、規約に記載がある場合は注意が必要です。


管理規約と向き合おう


「マンションは管理を買え」と言われるように、集合住宅での共同生活ではマンション管理が重要であることは誰も否定しませんし、居住者の方も認識しているはずです。ところが、頭では理解できていても、「役員にはなりたくない」「総会には出たくない」「忙しい」「よく分からない」と理由をつけて、マンション管理から逃げていませんか?

「マンション管理の憲法」とも呼ばれる管理規約は「マンション内での日常生活に関する居住者相互間の共同のルール」です。管理費や修繕積立金などの会計、総会や理事会の招集や議決権について、さらに管理組合の業務内容などが書かれており、どれも重要なことばかりです。「知らなかった」では済まされないのです。

これを機会に、タンスの奥に眠っている管理規約を引っ張り出して、今一度、目を通してみましょう。マンションで生活する上で、やらならければならない最低限の行いです。


【関連サイト】
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