マンション購入術/マンション購入の失敗・トラブル

静かな時限爆弾!アスベストの脅威を知る(2ページ目)

以前から健康被害について問題視されていたアスベストの恐怖が急に報道されています。「静かな時限爆弾」という恐ろしい異名を持つアスベストとは何なんでしょう?一体どういう悪影響を及ぼすのか調べてみました。

平賀 功一

執筆者:平賀 功一

賢いマンション暮らしガイド

9割は“建材”に使用される


「アスベストは耐火性や耐熱性に優れ、摩擦に強く、絶縁性や耐久性などにも富んでいることから、その9割が建材として使われています。また、加工性や扱いやすさにも長けており、さらに、価格が安いことも高度経済成長下の大量生産・大量消費時代のニーズに合致しました。その後、作業効率を高めるためにアスベストを吹き付けるという発想が生まれ、1960年代頃から一般的な建物で用いられるようになっていったのです。軽量耐火被覆材として、高層ビルを初めとする鉄骨建築物の柱や梁(はり)にもアスベストは吹き付けられていたようです。

 ※特定化学物質等障害予防規則(厚生労働省)により、1975年に吹き付けアスベストは禁止されています。

一方、海の向こう米国でも、アスベストに対する被害は社会問題となっています。アスベストの経営リスクを研究する「エコビジネスネットワーク」の安藤眞代表は、ヤシマ工業主催のアスベスト緊急対策セミナーの壇上で「米国の国立健康統計センターによると、アスベストによる中皮種で年間4000人が死亡(2002年)しており、賠償訴訟では“たばこ被害”とならぶ米国最大の集団訴訟に発展している」ことを発表しています。2003年だけで、アスベストをめぐる訴訟件数は10万件に達したそうで、訴訟を起こされた企業は賠償金などの支払いに耐えきれず倒産していく事例が70社以上におよんでいます。


事実上“公害”とみなされたアスベスト


日本で住宅に関する化学物質の健康被害といえば、建材から発散するホルムアルデヒドなどによって頭痛や目の痛みを誘発する「シックハウス(症候群)」が典型例でしたが、アスベストによる健康被害が社会問題となったことを重くみた政府は、従業員だけでなくその家族や、さらに工場周辺の住民に対しても労災補償の範囲を広げられるよう新法の制定に乗り出す対応ぶりで、事実上、アスベストを“公害”と同様の扱いしています。

厚生労働省の専門家検討会の報告によると、2001年度までの3年間で中皮種で労災認定された93人の症例を分析した結果、


 ・平均吸引期間は20.2年
 ・吸引から発症までの平均潜伏期間は38年
 ・平均発症確認年齢は61歳


であることが分かりました(日本経済新聞7月15日より引用)。こうした報告を耳にするたびに、アスベストが「静かな時限爆弾」と呼ばれる“理由”が伝わってきますが、アスベスト除去を名乗る(便乗する)悪徳業者による、別の意味での被害も報告されています。我々消費者はむやみに不安がる必要はありませんが、正確な情報を収集し、1つ1つ心配ごとを片付けていくしかないでしょう。



【情報提供】
ヤシマ工業株式会社(アスベスト処理ネット)
エコビジネスネットワーク

【アスベストに関する相談専用ダイヤル】 0120-840-500
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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