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自民・民主、社会保障マニフェストの比較(2ページ目)

いよいよ衆議院議員選挙が公示になりました。7月末に発表された自民、民主のマニフェストのうち、社会保障分野の政権公約について比較してみました。

執筆者:宮下 公美子

障害者施策については?

導入前から、障害者団体から大きな反対の声が上がっていた障害者自立支援制度。見直しに次ぐ見直しで制度を持ちこたえさせていますが、今後、この制度はいったいどうするつもりでしょうか。

[自民党]
◆障害者施策の充実◆
障害者自立支援法を抜本的に見直して、利用者負担の応能負担への見直し、障害者がそれぞれの暮らしに相応しい支援を受けるための相談支援体制の強化、放課後に利用できるデイサービスの充実などの障害児支援の強化等を行う。利用者負担については大幅な軽減の継続に加え、障害者や障害のある子どもを抱える家庭に配慮し、さらなる改善を目指す。また、平成21年4月に報酬の5.1%引き上げを行ったところであり、障害福祉サービスの質の向上、良質な人材の確保と事業者の経営基盤を安定させる。さらに、都道府県に設置されている障害者自立支援対策臨時特例基金に積み増しを行い(約1500億円)、福祉・介護人材の処遇改善等を実現する。先の国会で廃案になった障害者自立支援法改正案を次期国会で成立させる。


[民主党]
◆障がい者自立支援法を廃止して、障がい者福祉制度を抜本的に見直す◆
【政策目的】
○障がい者等が当たり前に地域で暮らし、地域の一員としてともに生活できる社会をつくる。
【具体策】
○「障害者自立支援法」は廃止し、「制度の谷間」がなく、サービスの利用者負担を応能負担とする障がい者総合福祉法(仮称)を制定する。
○わが国の障がい者施策を総合的かつ集中的に改革し、「国連障害者権利条約」の批准に必要な国内法の整備を行うために、内閣に「障がい者制度改革推進本部」を設置する。
【所要額】
400 億円程度


「応能負担への見直し」が、両党に共通していますが、自民党は障害者自立支援法の枠組みの中での見直しを主張し、民主党は自立支援法を廃止し、新たに「障がい者総合福祉法」の制定を提案しています。

先の国会で廃案となった自立支援法の改正案には、応能負担、相談支援の充実、障害児支援の強化、地域における自立した生活のための支援の充実のほか、障害者の範囲に発達障害を含めることや障害程度区分を見直すことも記載されていました。これが自民党の障害者施策の基本方針でしょう。十分ではありませんが、制度開始当初と比べるとずいぶん改善されているのではないでしょうか。

ただ、こうした法案が2009年3月に提出されながら、一度も審議されないまま廃案になっていることから、自民党の障害者施策への取り組み姿勢は読み取れるように思います。

民主党
民主党は鳩山代表の顔が表紙に
一方、民主党ですが、「障がい者総合福祉法」という新しい障害者関連法の成立を訴えています。しかしその内容は、「制度の谷間がない」「応能負担」以外の情報がないので、マニフェストから詳細を知ることはできません。自立支援法、廃案になった前述の自立支援法改正案との違いもよくわかりません。

自立支援法が成立したとき、応益負担を求めるのであれば、「自立支援」という名の通り就労支援を強力に進めていく必要がある、という話があったと思います。しかし実際にはほとんど就労支援の具体的な施策はなく、障害者の就労は、特にこの不況下で非常に難しくなっています。こうした点について両党とも全く触れていないのはさびしい限りです。
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