届け出制の有料老人ホーム指導の限界
もともと届出をするつもりがなかったような小規模の無届けホームではなく、テレビCMを行っているような名の通った有料老人ホームの中にも、「居室は全室個室」という設置運営指導指針を無視する形で新規開設においても多床室を設け、有料老人ホームとして届け出ているホームもあります。自治体は、なぜ基準を満たしていないホームを認めるのか。
これは、あくまでも有料老人ホームが「認可制」ではなく、「届け出制」であるためです。届出を受理せず、全く把握できなくなるより、愛媛県が基準適合外でも届出を受け付けることにしたように、とにかく届け出てもらって把握することを最優先にしているのだと思います。
ここに届け出制である有料老人ホームに対する指導の限界があります。
各都道府県が策定している有料老人ホーム設置運営指導もあくまでも「指針」。強制力は強くありません。無視しようと思えば、無視できてしまうのが実態です。
愛媛県は基準適合外施設に対し、基準を満たしていない部分については改善計画を策定し、その計画に沿って是正可能な部分から是正するよう求めています。改善をどこまで強く求めていくかは、自治体次第。私が聞いた中では、「個別の指導はしていない」という自治体もありました。
限られた人員の中で、自治体によっては数百もあるホームすべてを把握し、指導するのは困難だとは思います。しかし、ホームに対してできるところから改善を求めているように、自治体もできるところから少しずつでも改善指導をし、安心して快適に暮らせる水準を確保してほしいと思います。