日本とドイツの介護保険を比較して考える記事の2回目。
日本の介護保険は、1995年にスタートしたドイツの介護保険を参考にして作られたといいますが、違う点も多く、それがよくもあり悪くもあります。今回は、その違いを整理する記事の後編。「要介護認定調査」と「給付」の日独の違いについて整理してみます。

極力、非該当にする「鑑定」

日本でいう要介護認定調査を、ドイツでは「鑑定」と言います。
鑑定
ドイツでは、医師が鑑定(認定調査)を行うことも多い
「財源」のところで、ドイツ介護保険は財源が保険料のみであるにもかかわらず、保険料率を長年上げずにすんだと書きました。それはなぜか。「鑑定」が非常に厳しく、非該当になる対象者が多いからです。言わば、財源に合わせて給付量を調整するような鑑定になっていたわけです。また、鑑定を行うのは介護の実態について十分は把握していない医師など。鑑定が医学的観点から1人あたり20分程度の短い時間で行われていたこともあり、介護実態にそぐわない鑑定も多かったそうです。

当然、鑑定を不服とする対象者は多く、異議申し立て、さらには訴訟に発展するケースも多数ありました。そこで2003年、鑑定技術を確立し、対象者が納得する鑑定を行うために「公認介護鑑定人」を養成するシステムがスタートしました。

日本の介護保険認定調査員はたった2~4週間程度の養成で認定調査を行いますが(詳しくはガイド記事「介護保険認定調査員って知ってますか?」で)、ドイツの鑑定人の養成期間は1年間。対象者の自然な姿を把握できるよう、調査と感じさせないさりげない質問を重ね、1時間ほどかけて身体状況を把握し、鑑定します。こうした適正な鑑定方法が導入されたことにより、訴訟は減少したそうです。

しかし、高齢化が進展していけば、当然、要介護者は増えていきます。振るい落とす鑑定から適正な鑑定に移行すれば、近い将来、ドイツも給付量の増大、財源不足という日本と同じ問題に直面することになるのではないかと思います。