判断が難しかった「飲水」
23項目の削除案の中で、調査員や審査会委員から「判断が難しい」「調査が困難」という声が上がったとされているのは、「皮膚疾患」「飲水」「火の始末」。元調査員として言えば、たしかに「飲水」は非常に判断に悩む項目でした。私の勤めていた自治体では、飲水は「飲水の介助が行われているかどうか」と「1回にえん下する量が適正かどうか」を評価する項目とされていました(自治体により判断基準にばらつきがあると聞いています)。ペットボトルや水筒を手が届く範囲においてもらえば飲める人は「自立」。自分で1回の適正な飲水量をコップに注げない人は「見守り」。コップを手渡したり、口元まで運ぶ介助が必要な人は「一部介助」。このあたりまではわかります。
では、手元に置くのがペットボトルではなくコップでないとダメな人は? これは「見守り」になります。必要以上に何杯も飲んでしまう人は「見守り」かと思いきや、「一部介助」。口元までコップを持っていって飲ませるのは「一部介助」だけれど、1回のえん下量を勘案して介助すると「全介助」となるとされています。口元まで持っていったら、1回のえん下量に見合うように調整するのが普通だと思いますが、「全介助」と「一部介助」の違いがよくわかりません。
「飲水」の判断については、聞けば聞くほど混乱し、勤続5年目の先輩調査員も含めて誰もが「判断できなーい」と嘆いていました。正しい判断ができない項目は、ロジック上、認定結果への影響が小さいなら削除する方がいいと思います。
「皮膚疾患」は、検討会の議論の中で「重篤なやけどの治療中等ならともかく、軽い水虫や魚の目でもチェックされてしまうのはどうなのか」という意見がありました。私も常々、これは意味があるのか?と思っていたので、やはり削除に賛成です。
「火の始末について」は、検討会において「火の始末ができないとなると、要支援1程度でも、1日中見守りが必要と審査会委員がとらえてしまうのが問題」という意見が出ていました。しかし認知症において、火の始末は非常に大きな問題。どの程度の見守りが必要か、あるいはどの程度の火の不始末があるかを、調査員に特記事項に書くよう指導し、そこをしっかり読み込むよう、審査会委員に伝えれば正しく理解されると思います。これが削除になってしまうなんて、という思いです。
削除項目の説明は
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